【SAP】PPモジュール 4大マスタ+1について徹底解説!




SAPのPP(生産)モジュールで使うマスタについて徹底解説します。

マスタをもとに、計画手配・製造指図といったトランザクションデータが作られるので、PPコンサルや生産ユーザの方は、マスタを知っておくことはMUSTです。

それでは、PPマスタについてイメージ図を使いながらやさしく解説していきます。

生産マスタの種類

PPモジュールでは、4大マスタ+1と呼ばれる5つのマスタがあります。

【4大生産マスタ+1】

  1. 品目マスタ
  2. BOMマスタ(部品表・配合表)
  3. 作業手順マスタ(レシピ)
  4. 作業区マスタ
  5. +製造バージョン

 

それぞれのマスタは、このような考えで設定されます。

マスタ名 概要説明
品目
  • 会社が調達、製造、保管、販売を行う品目についての情報
  • 品目には製品、半製品、原材料、非在庫品(サービス)などがある
BOM(部品表・配合表)
  • 製造に使用される構成品目の一覧
  • 親品目に対して、各子品目の品目コード、名称、数量などが含まれる
  • 1つの親品目に対して、複数のBOM(構成情報)を設定できる
  • 会社によってはBOMではなく、部品表・配合表と呼ぶこともあります。
作業区
  • 作業区では生産を行う設備、もしくは設備群の生産能力を原価管理を行う単位で設定する
作業手順(レシピ)
  • 作業手順は製造品目に必要な個々の作業(作業が行われる作業区の情報、標準時間など)の順序が設定される
  • 1つの製造品目に対して、複数の作業手順を設定できる
  • プロセス系の会社では、レシピと呼びます。
製造バージョン
  • 1つの製造品目に対する、BOM・作業手順の組合せ
  • BOM・作業手順の組合せを変えることにより、複数の製造バージョンを保持できる
  • デフォルトでは、一番小さい番号の製造バージョン(BOM・作業手順の組合せ)で標準原価計算が実行される

 

言葉だけではイメージが付きにくいので、それぞれのマスタの紐づきについて説明します。

それぞれの生産マスタは、以下のような繋がりとなっています。

  • 前提に①品目があり、
  • ②BOMは、①品目を使って製造品目の親子関係(何を使って(子)、何を作るか(親)の関係)を設定します。
  • ③作業手順は、①品目をいくら作るのに、何時間かかるか。そしてどの作業区(場所・機械)で作業をするのかを設定します。
  • ⑤製造バージョンは、どのBOM・どの作業手順の組合せとするか、組合せの設定をします。

 

また、生産マスタを製造指図に落とし込んだ時に、このような紐づきになります。

マスタ名 製造指図での使われ方
品目
  • 製造に必要な製品・半製品・原材料などを登録しておきます
BOM(部品表・配合表)
  • 登録されている品目を使って、親品目・子品目の繋がりを設定します
作業区
  • 作業が行われる場所・機械を設定します(製造原価を集計したい単位で設定します)
作業手順(レシピ)
  • 登録されている品目を製造する作業時間・作業順番を設定します
  • また作業が行われる作業区(場所・機械など)を紐づけます
製造バージョン
  • BOM・作業手順の組合せを設定します。
  • 製造指図にはデフォルトで有効期限内の製造バージョンかつ、その中で一番番号が小さい製造バージョンが読み込まれます(指図登録時に変更可能)

 

ここまでで、ざっくりと5つの生産マスタが、どのように紐づいていて、どのように製造指図に落とし込まれるかのイメージがついたかと思います。

続いては、それぞれのマスタをどう設定していくかを解説していきます。

 

品目マスタ(T-code:MM01)

品目マスタは、製品・半製品・原材料など、在庫を管理したい単位で、マスタを設定していきます。

T-codeは、MM01 で登録です。

基本的には、製品・半製品・原材料で、以下のビューを拡張(使用)します。

品目分類 ビュー
製品
  • 基本データ1
  • 基本データ2
  • 販売:販売組織1
  • 販売:販売組織2
  • 販売:一般/プラント
  • MRP1
  • MRP2
  • MRP3
  • MRP4
  • 作業計画
  • プラント/保管場所1
  • プラント/保管場所2
  • 会計1
  • 会計2
  • 原価1
  • 原価2
半製品
  • 基本データ1
  • 基本データ2
  • MRP1
  • MRP2
  • MRP3
  • MRP4
  • 作業計画
  • プラント/保管場所1
  • プラント/保管場所2
  • 会計1
  • 会計2
  • 原価1
  • 原価2
原材料
  • 基本データ1
  • 基本データ2
  • 購買管理
  • MRP1
  • MRP2
  • MRP3
  • MRP4
  • 作業計画
  • プラント/保管場所1
  • プラント/保管場所2
  • 会計1
  • 会計2
  • 原価1
  • 原価2

要件によっては、品質管理ビューを拡張したり、会計・原価ビューは使わなかったりしますが、基本的に上のビューを拡張します。

大事なのは、

  • 製品:販売するために、販売ビューを拡張していること。製造するためにMRP・作業計画ビューを拡張していること
  • 半製品:製造するためにMRP・作業計画ビューを拡張していること
  • 原材料:購買するために、購買ビューを拡張していること

です。

 

BOMマスタ(T-code:CS01)

BOMマスタは、登録されている品目マスタを使って、どの品目を作るのに(親)・どの品目を使用するか(子)の関係を設定します。

T-codeは、CS01 で登録です。

基本的には、「品目」「数量」を設定します。

 

作業区マスタ(T-code:CR01)

作業区は作業の場所や機械を表します。

作業区には原価センタ(製造にかかった費用計上先)を紐づけます。

そのため、製造原価をどういった単位で集計したいか経理要件も入ってきます。

 

T-codeは、CR01 で登録です。

まず作業区には、作業時間を計上する項目を設定します。 項目は「標準値キー」に紐づけられた項目がセットされます。

標準値キー と 作業時間計上項目は、カスタマイズであらかじめ設定しておきます。

 

続いて、原価センタの紐づけ および 活動タイプ・計算式の割合をします。

原価センタは、製造原価の費用計上先を意味します。

活動タイプ・計算式は、標準値キーで指定した作業時間計上項目とマッチさせ、計算式は加工費計上のための計算式をセットします。

計算式は、あらかじめカスタマイズで設定しておきます。

 

作業手順マスタ(T-code:CA01)

作業手順マスタは、品目を製造するのに、どの作業区で、何時間かかるのか という設定をします。

T-codeは、CA01 で登録です。

基本数量に対して、何時間作業するのか、 そしてどの作業区で作業をするのか、 というのを明細レベルで設定します。

 

会社によって、品目を作るのに、1明細のみ設定するところもあれば、

作業を分割して、それぞれ作業時間を計上したい場合は、複数明細設定するところもあります。

 

製造バージョンマスタ(T-code:C223)

最後に製造バージョンです。

T-codeは、C223 で登録です。

製造バージョンは、BOM・作業手順の組合せを設定します。

前提として、BOMも作業手順も、1品目に対して複数のバージョンのBOM・作業手順を設定できます。

例えば、季節変動で、夏は水を10g使用するが、冬は8gしか使用しない といったBOMを2つ登録するようなこともできます。

作業手順の場合、1号機で作業する場合は8h、2号機で作業する場合は10h (作業区は1つにまとめておきたい)といった場合、それぞれ作業手順を設定することができます。

製造バージョンは、BOM・作業手順が複数登録された場合も、組合せを複数登録しておくような使い方をします。

デフォルトでは、有効期限内の製造バージョンで、一番製造バージョン番号が小さいものが使われます。

設定では、製造バージョン番号・有効期限・BOM情報・作業手順情報を指定します。

 

サマリ

SAP PPモジュールには、4大マスタ+1の5つのマスタがあります。

  • 品目:製品・半製品・原材料など、在庫管理単位で登録
  • BOM:品目マスタを使って、製造する品目・製造に使用する品目(親子)の関係を設定
  • 作業区:製造原価を計上するために、原価センタに紐づけ。場所・機械などごとに設定
  • 作業手順:製造する品目を作る基本数量単位で、いくら時間がかかるか、どのような作業をするか設定
  • 製造バージョン:BOM・作業手順の組合せを設定

 

PPモジュールを理解するうえで、まずはそれぞれのマスタの考え方・紐づき・設定する内容について理解したほうが、他のPP機能について理解が倍以上に進みます。

まずはこの記事を読んで、他のMRP・製造実績などの記事を読んでみてください。




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ABOUTこの記事をかいた人

製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。