【SAP】ロットまとめ方式について徹底解説!




ロットまとめ方式とは、MRP実行時に生産・購買するロット数量を決めるための方針パラメータのことです。

ロットまとめ方式を使いこなすことにより、適切なロット数量で製造指図・購買発注伝票が登録できます。

ロットまとめ方式は、パターンが多く、全部理解していないという方もいらっしゃると思います。

この記事ではロットまとめ方式のパターンごとにどのような特色があるか解説していきます。

ロットまとめ方式

ロットまとめ方式とは、MRP実行時に生産・購買のロット数量を決めるための方針パラメータです。

品目マスタ-MRP1ビューにて、設定をします。

ロットまとめ方式は、大きく以下3つに分類できます。

  • 静的ロットまとめ方式
  • 期間ロットまとめ方式
  • 最適ロットまとめ方式

それぞれのロットまとめ方式を分類すると、以下の表になります。

分類 ロットまとめ方式
静的ロットまとめ方式 EX ロットフォーロット指図数量
FX 固定数量まとめ
HB 最大在庫まで補充
期間ロットまとめ方式 TB 日次ロットまとめ
WB 週次ロットまとめ
W2 第2週
MB 月次ロットまとめ
PB 会計期間ロットまとめ
PK 計画カレンダによる期間ロットまとめ
最適ロットまとめ方式 SP PPB方式
WI 最小単価数量まとめ
DY 動的ロットサイズ登録
GR グロフ数量まとめ

それではパターンごとに、どのようなロットまとめ方式なのか解説していきます。

 

静的ロットまとめ方式

静的ロットまとめ方式は、3つあり、一番よく使うロットまとめ方式パターンです。

分類 ロットまとめ方式
静的ロットまとめ方式 EX ロットフォーロット指図数量
FX 固定数量まとめ
HB 最大在庫まで補充

すべてよく使うロットまとめ方式なので、詳しく解説していきます。

ロットフォーロット指図数量(EX)

ロットフォーロットは、必要な数量分を手配数量に指定します。

いわば、一番自由に数量を設定できるロットまとめ方式です。

特に製造指図・購買発注のまとめ数量を気にしない場合は、ロットまとめ方式:EX を設定し、最小ロットサイズ・最大ロットサイズ・丸め数量をブランクに設定します。

まとめ数量を制御したい場合は、ロットまとめ方式:EX を設定し、最小ロットサイズ・最大ロットサイズ・丸め数量に値を設定し、制御します。

ロットサイズの決定方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ノマドSAPコンサル
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https://tokulog.org/blog/20201009/lotsize/
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固定数量まとめ(FX)

固定数量まとめは、常に”固定の数量”を手配数量に指定します。

ロットまとめ方式:FX の場合、「固定ロットサイズ」に値をセットする必要があります。

仮に 固定ロットサイズ=100 で、MRP実行で所要量=150 となった場合、手配数量=100 の伝票が2つ登録されます。

近い考え方として、ロットまとめ方式:EX, 丸め数量=100 の場合は、手配数量=200 の伝票が1つ登録される方法もあります。

固定数量まとめは、固定ロットサイズごとに伝票を分けたい場合に使用します。

 

最大在庫まで補充(HB)

最大在庫まで補充は、項目「最大在庫レベル」に指定した在庫数量に達するように手配数量を指定します。

例えば、最大在庫レベル=100 と設定し、現状在庫=0、所要量=20 の場合、手配数量=120 となります。(所要量と最大在庫レベルを満たす数量が入る)

もし上の例で、丸め数量=100 と設定していた場合、100の倍数の数量が手配数量に入るため かつ 最大在庫レベル・所要量を満たす数量とするため、手配数量=200 となります。

 

期間ロットまとめ方式

期間ロットまとめ方式は、指定した期間で発生した所要を1つのロットにまとめる方式です。

言葉だけでは何のことか分からないので、図を使って解説します。

例えば、ロットまとめ方式:WB(週次まとめ)を設定した場合、1週間に複数の所要が以下のように発生したとします。

1週間のうちに複数所要が発生したとき、ロットまとめ方式で指定している期間の一番初めの日程に手配数量がまとめられます。

図の例でいうと、

  • 10/1週は、
    • 10/1:100PC
    • 10/3:200PC
    • 10/5:300PC
    • →週初日の10/1に合計600PCの計画手配が登録される
  • 10/8週は、
    • 10/9:100PC(1回目)
    • 10/9:200PC(1回目)
    • →週初日の10/8に合計300PCの計画手配が登録される(同じ日に複数所要が発生した場合もまとめらる)

 

SAP標準で期間ロットまとめ方式のパターンは以下が用意されています。

SAP標準以外を使用したい場合は、カスタマイズでオリジナルのロットまとめ方式を作成することも可能です。(例えば、3週まとめ 2カ月まとめ など)

分類 ロットまとめ方式
期間ロットまとめ方式 TB 日次ロットまとめ
WB 週次ロットまとめ
W2 第2週
MB 月次ロットまとめ
PB 会計期間ロットまとめ
PK 計画カレンダによる期間ロットまとめ

 

最適ロットまとめ方式

最適ロットまとめ方式は、「ロットサイズ非依存原価」と「保管経費」をもとに、費用が最小になるロットサイズで手配をします。

そのため最適ロットまとめ方式を指定する場合は、「ロットサイズ非依存原価」と「保管経費」を設定する必要があります。

ロットサイズ非依存原価とは、ロットサイズに関わらず固定でかかるコスト(段取や輸送費)を設定します。

保管経費とは、倉庫に保管するためにかかるコストのことで、原価に対して何%の保管コストがかかるかを設定します。

保管経費は、所要量 x 原価 x 保管経費 x (保管日数 / 365) で算出します。

例)

所要量 100 PC
原価 200 円
保管経費 10 %
保管日数 7 日
保管経費 38 円

100PC x 200円 x 0.1 x (7 / 365) = 38 円

 

最適ロットまとめ方式は、品目マスタで「ロットサイズ非依存原価」と「保管経費」の値をミリミリと設定しなければいけないので、クライアントが使いこなすには結構難易度は高いです。

なぜこの手配数量になったのか、という算出原因を探るのも時間がかかるため難しいので、使用している会社はあまりありません。

 

SAP標準で最適ロットまとめ方式は、以下4つが用意されています。

4つの異なる点は、計算基準が異なるところです。(詳細はこの後説明します)

分類 ロットまとめ方式
最適ロットまとめ方式 SP PPB方式
WI 最小単価数量まとめ
DY 動的ロットサイズ登録
GR グロフ数量まとめ

 

PPB方式(SP)

PPB方式は、「保管経費の合計」が「ロット非依存原価」を上回る1つ前の所要までを1つのロットにまとめます。

具体的に図で説明していきます。

まず品目マスタの設定値を以下とします。

原価 200 円
ロット非依存原価 1,000 円
保管経費 10 %

以下のように所要量が入ったとき、10/15分の保管経費合計額が、ロット非依存原価を超えます。

そのため、1つ前の10/8分の所要までを含めた、トータル2,000PC がロットサイズとして手配数量に登録されます。

 

最小単価数量まとめ(WI)

最小単価数量まとめは、「保管経費」と「ロット非依存原価」合計値から単価を算出し、単価が最小になる所要までを1つのロットにまとめます。

以下のように所要量が入ったとき、10/8の単価が最小になるため、トータル2,000PC がロットサイズとして手配数量に登録されます。

  • ※1 総コスト = ロット非依存原価 + 保管経費の合計
  • ※2 単価 = 総コスト / ロットサイズ

 

動的ロットサイズ登録(DY)

動的ロットサイズ登録は、「保管経費」が「ロット非依存原価」を上回る1つ前の所要までを1つのロットにまとめます。

以下のように所要量が入ったとき、10/22の保管経費額が、ロット非依存原価を超えます。

そのため、1つ前の10/15分の所要までを含めた、トータル3,000PC がロットサイズとして手配数量に登録されます。

 

グロフ数量まとめ(GR)

※help.sap と SAP note に書かれている内容が異なっているため、確かではない機能ですが、この記事はSAP note をベースに解説しています。(SAP note : 538201、441102)

グロフ数量まとめは、「追加保管経費」が「ロット非依存原価の経費節約」を上回る1つ前の所要までを1つのロットにまとめます。

以下のように所要量が入ったとき、10/22の追加保管経費額が、ロット非依存原価の経費節約額を超えます。

そのため、1つ前の10/15分の所要までを含めた、トータル3,000PC がロットサイズとして手配数量に登録されます。

  • ※1 限界差分(ロット非依存原価) = 1つ前のロット非依存原価/日 – ロット非依存原価/日
  • ※2 限界差分(保管経費) = 保管経費/日 – 1つ前の保管経費/日

 

サマリ

MRP実行でキーとなるロットまとめ方式を各パターンごとに解説しました。

ほとんどの会社は静的ロットまとめ方式 もしくは 期間ロットまとめ方式を採用しています。

導入する際には、今の発注や製造の手配数量算出の考え方をヒアリングしたのちに、クライアントの考えに近しいSAPのロットまとめ方式の解説をしていけばスムーズに要件が詰まります。

また、MRPのパラメータをミリミリと設定値を軌道修正していく運用が必要なので、ロットまとめ方式はロットフォーロット(EX)で算出し、手配が出たのちに微修正をかけていくクライアントもいます。

このあたりの運用はクライアントによって好みも異なってくるので、柔軟に対応していくのが一番です。




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ABOUTこの記事をかいた人

製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。