【SAP】発注承認プロセス・カスタマイズについて徹底解説!




SAP MMモジュール(購買管理)では、発注承認機能が標準であります。

すべての発注に対して承認するのではなく、例えば、1万円以上は課長承認、10万円以上は部長承認 といったようにパターンが分かれている企業が多いと思います。

この承認パターンをSAP標準機能で実現できます。

この記事では発注承認プロセス・発注承認の設定方法について解説します。

SAPの発注承認プロセス概要

発注承認プロセス

まずはSAPの発注プロセスについて解説します。

SAPの仕入品入庫までのプロセスは、以下5Stepで処理されます。

  1. 購買依頼
  2. 購買依頼承認
  3. 購買発注
  4. 購買発注承認
  5. 入庫
発注承認プロセス

SAPでは、購買依頼に対しての承認・購買発注に対しての承認の2つをそれぞれ設定することが可能です。

購買依頼承認の観点

購買依頼は、原材料・資材が欲しい部門が登録することが多いです。

そのため、購買依頼は

  • 品目
  • 数量
  • 納入日

の3点を登録します。(仕入先・価格は気にしません)

そのため、承認者は、発注する品目は正しいか、数量は適切か、納入日付は問題ないか といった観点で購買依頼の承認処理をします。

また、購買依頼が承認されるまで、購買発注の登録ができない仕様になっています。

 

購買発注承認の観点

購買発注は、仕入先とやり取りをする調達部門が登録することが多いです。

そのため、購買発注は購買依頼の情報に加え、

  • 品目
  • 数量
  • 納入日
  • 仕入先
  • 価格

の5点を登録します。

そのため、承認者は、発注する品目は正しいか、数量は適切か、納入日付は問題ないか、仕入先は正しいか、価格は適切か といった観点で購買発注の承認処理をします。

(仕入先・価格はマスタ設定から自動で導出できます。)

また、購買発注が承認されるまで、入庫処理ができない仕様になっています。

 

発注プロセスのトランザクションコード

それぞれのStepで使用するトランザクションコードは以下です。

# プロセス T-code 用途
1 購買依頼 ME51N 購買依頼のマニュアル登録
ME56 購買依頼へ仕入先割当
2 購買依頼承認 ME54N 購買依頼の個別承認
ME55 購買依頼の一括承認
3 購買発注 ME21N 購買発注のマニュアル登録
ME59N 購買依頼参照で購買発注の自動登録
4 購買発注承認 ME29N 購買発注の個別承認
ME28 購買発注の一括承認
5 入庫 MIGO 発注入庫

 

発注承認設定方法(カスタマイズ)

それでは発注承認の設定方法(カスタマイズ)について解説していきます。

発注承認の設定条件イメージ

まず設定の前に承認とは、

  • どんなケース(伝票タイプ・何万円以上など)で承認を必要とするか
  • 誰が承認するか
  • 承認後の伝票制御をどうするか

ということを決める必要があります。

例えば、

  • 経費購買で
  • 金額:10,000以上で
  • 課長の承認が必要

ということをカスタマイズで設定していきます。

 

カスタマイズ方法

こちらが各カスタマイズの紐づきを表した図です。

承認方針設定

まず前提として、以下4つの設定をしておきます。

  • クラス
  • 承認グループ(承認コードをまとめるコード)
  • 承認コード(課長・部長・社長など)
  • 承認区分(承認後は伝票変更不可とする など)
  • 特性(伝票タイプ・プラント・明細合計金額など、承認の条件で使用するSAP項目)

 

この5つの前提設定をしたうえで、「承認方針」にて、

  • どんなケース(伝票タイプ・何万円以上など)で承認を必要とするか:特性(分類)
  • 誰が承認するか:承認コード
  • 承認後の伝票制御をどうするか:承認区分

を紐づけていきます。

 

ケーススタディ

以下の3つの条件を承認設定した場合の解説をします。

  • 経費購買で、1万円以上の場合は、課長承認。承認後、伝票変更可。
  • 経費購買で、10万円以上の場合は、課長・部長承認。承認後、伝票変更可(ただし金額が20%変更の場合は再承認)。
  • 経費購買で、50万円以上の場合は、課長・部長・社長承認。承認後、伝票変更不可。

 

こちらが設定イメージです。

承認方針設定_ケーススタディ

まず前提設定として、

  • 承認コードに、課長・部長・社長
  • 特性に、伝票タイプ・明細合計金額
  • 承認区分に、伝票変更可・伝票変更可(金額20%変更の場合は再承認)・伝票変更不可

を設定

 

承認方針設定では、承認グループに紐づける形で、承認方針を3つ 以下の設定をします。

<①経費購買で、1万円以上の場合は、課長承認>

  • 承認コード・・・課長
  • 分類・・・伝票タイプ:経費購買、明細合計金額:>= 10,000 AND < 100,000
  • 承認区分:伝票変更可

 

<②経費購買で、10万円以上の場合は、課長・部長承認>

  • 承認コード・・・課長→部長
  • 分類・・・伝票タイプ:経費購買、明細合計金額:>= 100,000 AND < 500,000
  • 承認区分:伝票変更可(金額20%変更の場合は再承認)

 

<③経費購買で、50万円以上の場合は、課長・部長・社長承認>

  • 承認コード・・・課長→部長→社長
  • 分類・・・伝票タイプ:経費購買、明細合計金額:>= 500,000
  • 承認区分:伝票変更不可

 

複数条件を指定したい場合は、承認グループに対して複数の承認方針を紐づけます。

また、承認フローを課長→部長→社長 とステップを踏みたい場合は、「承認前提条件」という設定箇所で、

  • 部長は、課長承認が前提
  • 社長は、課長 & 部長承認が前提

という設定をしておきます。

 

サマリ

ここまで読んでいただき、発注承認プロセスと設定方法について理解いただけたかと思います。

実際のプロジェクトでは、細かく厳密に設定したいという要望がよく挙がりますが、細かく設定しすぎると承認者不在の場合に運用が回らなかったり、組織変更の都度メンテナンスが大変になったりとします。

ポイントは、ガチガチに承認方針を設定しすぎず、ある程度運用でカバーできるような設定にすることをおすすめします。




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ABOUTこの記事をかいた人

製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。