バックオーダー処理とは、受注に引き当てられた在庫を「納入日付」や「得意先の優先度」によって再在庫引当をすることです。
SAPにバックオーダー処理は2パターンあります。
この記事では、バックオーダー処理とは何か、バックオーダー処理の方法について解説していきます。
Contents
ATP利用可能在庫確認
ATP利用可能在庫確認とは、受注伝票保存時に未引当の在庫を受注伝票に引き当てて、在庫を予約することです。
ATP利用可能在庫確認は、受注伝票の登録順に在庫が引き当てられます。
そのため、後に登録した受注伝票なんだけど、納入日付は直近の場合、すぐに出荷できるようにしなければいけないが在庫が引き当てられない、ということがおきます。
そのため、バックオーダー処理で再度在庫引当処理をしてあげる必要があるのです。
例えば、下の図のように3つの受注伝票が登録されたとします。

この場合、受注③の納入日付が10/4 で、受注②の納入日付の10/8 より早いため、在庫250から在庫を引き当てた方がいいのですが、ATP利用可能在庫確認では「受注登録日」を基準に在庫が引き当てられます。
そこで、バックオーダー処理をして、在庫引当を最適化してあげる必要があります。
こちらの記事でATP利用可能在庫確認の設定方法・パターンごとのロジックについて解説記事を書いてるので、参考に読んでみてください。
バックオーダー処理
バックオーダー処理の動き
バックオーダー処理をすることで、受注登録日順に引き当てられた在庫を、再引当することができます。

バックオーダー処理パターン
バックオーダー処理は、2パターンあります。
- マニュアル(T-code:V_RA)
- 再日程計画(T-code:V_V2)
マニュアルバックオーダー処理(T-code:V_RA)
品目・プラント・得意先・受注伝票番号などで、在庫引当を修正する受注伝票を検索。
その後、
- 在庫引当済の受注伝票から確約数量を減らす
- 在庫引当をしたい受注伝票の確約数量を増やす
という処理をします。
再日程計画バックオーダー処理(T-code:V_V2)
品目・プラントで、在庫引当をする受注伝票を選択します。
選択画面で、在庫引当をする優先順位を以下の項目レベルで設定できます。
- 販売伝票カテゴリ
- 出荷優先順位
- 日付(登録日 or 納入日付)
- 伝票番号
- 明細番号
※出荷優先順位は、BPマスタ・得意先品目情報レコードにて設定します。
実行すると変更前数量・変更後数量が一覧で表示されます。
また、選択画面にて「受注伝票のみ」「在庫転送オーダーのみ」「シミュレーション」などのオプションを選択することができます。
再日程計画は自動処理のため、定期的にジョブ実行する会社もあります。
在庫引当の固定処理(T-code:VA02)
一度バックオーダー処理をして在庫引当されたものを、誤って引当をはがされてしまうことがあります。
(マニュアルで他の担当者が誤って修正してしまったり、再日程計画で思わぬ結果になってしまったり。。。)
そのため、これで確定だ!という受注伝票に対しては、引当された在庫を固定する処理をする必要があります。
手順はT-code:VA02(受注伝票変更)で、受注明細の「納入日程行タブ」の「固定日付および数量」にチェックを入れます。
これをすることにより、バックオーダー処理によって引当在庫が修正されることはなくなります。
今日学んだこと!
- ATP利用可能在庫確認で引き当たった在庫を、バックオーダー処理にて在庫引当の最適化ができる
- バックオーダー処理には、マニュアル処理・再日程計画の2パターンがある
- 再日程計画では、販売伝票カテゴリ・出荷優先順位・日付(登録日 or 納入日付)・伝票番号・明細番号 を在庫引当の優先順位付けができる
- T-code:VA02(受注伝票変更)にて、引き当たった在庫をFixすることができる