SAPを始めるとき、何かしらのモジュールの担当からキャリアを始める人がほとんどです。
そのため、担当のモジュールのことは専門的になり、スペシャリストとして育ちます。
しかし一方で、SAPを導入するユーザはERP(基幹システム)としてSAPを導入するので、モジュール間の連携や、会社全体の業務プロセスについて気にされます。
そのため、SAPコンサルである以上、お客様の会社業務については”ざっくり”でいいので、知っておくと損しませんし、会話レベルも同じになってスムーズな要件定義ができるようになります。
普段の業務をしているとなかなか全体感について学ぶ機会がないかと思います。
この記事では”ざっくりレベル”で会社業務について、初心者でも分かるように解説していきます。
- 会社業務のことを部門ごとに”ざっくり”と解説するので、ざっくりと理解するレベルで読んでみてください
- 部門間の業務の”つながり”を意識して読んでみてください
会社にはどんな部門があるの?
ERPの話の前に、会社にはどんな部門があるかを見てみましょう。
あなたの会社でも、お客さんの会社でも構いません。 どんな部門がありますか?
だいたいの会社では、こんな部門があるのではないでしょうか?
会社によっては、設計やマーケティングといった部門もあると思いますが、ざっくりベースで言うと、上の図のような部門が会社にはあります。
そして、青塗りつぶしの部門はSAPのモジュールに登場する部門です。
この記事では、いったんSAPのことは忘れて、「会社業務」にフォーカスを当てて説明しますが、SAPやってる方に分かりやすいように、部門に当てはまるモジュールを書いたのが、こちらです。
他にもPS・PM・QMモジュールなどがありますが、これらを入れて説明しだすとややこしくなるので、今回は割愛しますね。
メーカーをイメージして、「会社業務の流れ」にフォーカスを当てて、簡潔に分かりやすく説明していきます。
それではさっそく説明に入っていきましょう!
調達
調達の業務内容
調達の業務内容は、一言でいうと「モノ・ヒトの仕入」です。
仕入と言っても、
- 製造で使う資材・原材料
- 会社で使う備品
- 契約社員(人材の調達)
などがあります。
これらモノ・ヒトを仕入れるために、
- 仕入先の会社と調整・金額交渉・契約
- モノ・ヒトの発注
- 届いたモノや派遣されたヒトに対して検収
といった業務をします。
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モノ・ヒトを買ってくる。そのためにいろいろ調整しますよ! |
部門間の業務
調達が隣り合う部門は、
- 生産管理/製造
- 物流
- 経理
です。
生産管理/製造
生産管理/製造は、自社で作る製品に必要な資材・原材料が、いくら足りないか・いくら買いたいかを調達部門に連絡します。
この依頼を元に、調達部門で仕入先に対して、発注業務を行います。
(実際に生産部門でいくら資材・原材料が足りないかは、製造現場の人でないと分かりません。 そのため発注のトリガーは生産部門からの依頼になります)
物流
モノ(資材や原材料)が仕入先から自社に届くと、入庫します。
入庫後、物流部門で自社倉庫で製造に使われるまで管理されます。
経理
検品時に仕入先から請求書(モノがいくら、金額がいくら、と書かれた紙)が届きます。
その請求書に間違いがないかを調達部門でチェックします。
請求書のチェックが終わると、経理部門に回され、経理部門が仕入先に対してお金の支払いをします。
支払いは即時ではなく、調達部門が仕入先と契約した内容により(例えば”翌月10日までの支払い”)、他の発注などとも合わせて一括で仕入先に支払をすることが多いです。
生産管理/製造
生産管理/製造の業務内容
生産管理/製造部門は、
- いくらモノを作るか計画し
- 生産計画に沿って、製造する
という業務です。
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計画して作る。 超シンプルっしょ! |
部門間の業務
調達が隣り合う部門は、
- 営業
- 調達
- 物流
- 経理
です。
営業
まずは生産計画を作るのに、営業から入る受注の情報が必要です。
営業から入る受注で「いつまでに・いくらモノが必要なのか」という情報を元に、生産計画を作ります。
(受注がないのに生産しちゃうと、作りすぎちゃった!置き場所ないよ!腐っちゃうよ! となりかねませんよね。)
調達
続いて、製品をいくら作るかの生産計画が立てられると、資材・原材料がいくら必要なのか・いくら足りないのかが計算されます。
資材・原材料がいくら必要なのか・いくら足りないのかを調達部門に伝え、調達部門に仕入先からモノを買ってもらうように依頼をします。
物流
資材・原材料が自社倉庫に入ってきて、実際に製造に使うタイミングになったら、物流に連絡をして製造現場・ラインまで持ってきてもらいます。
また、製造でできた半製品・最終製品も、いったんは自社倉庫で保管するため、できたものも物流部門に連絡し、運んでもらい保管してもらいます。
欲しいものは持ってきて、作ったものは持っていって ということですね。
経理
製造に「作業時間はいくらかかったか」、「資材・原材料をいくら使ったか」、「半製品・最終製品がいくらできたか」、という製造実績をとらえ、経理の原価計算に利用します。
原価(この製品がいくらでできるのか・できたか)をとらえることで、モノを売った時に利益率の良い製品なのか・悪い製品なのか、という分析に使います。
製造コストが1,000円しかかからずに、10,000円でモノが売れたら最高ですよね!
逆に製造コストが9,000円もかかったのに、10,000円でモノを売ったら、効率悪い製品ですよね。
こういうコスト視点での分析をするために、製造実績を経理で集約し、原価分析をします。
(ここは難しいところなので、へぇ~ そういうこともするんだ くらいで大丈夫です!)
営業
営業の業務内容
営業は、
- 得意先に自社製品を紹介し、買ってもらう
- 注文をもらったモノを得意先に配送手配
- 買ってもらったモノに対してお金を請求
ということをします。
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買ってもらう! 送って、お金をもらう! |
営業と聞くと、外回りをして、自社製品をプレゼン・契約(注文)を取ってくるというイメージをされている方が多いと思います。
①得意先に自社製品を紹介し、買ってもらう は、まさしく営業の業務イメージです。
それに比べ、②③の配送や請求は営業ではなく、営業支援部門(いわゆるバックオフィス)がやっている会社も結構あります。
今回は、会社業務をざっくりと理解してもらうために、営業+営業支援(バックオフィス)を1つの部門と考えて、読み進めてみてください。
部門間の業務
営業が隣り合う部門は、
- 生産管理/製造
- 物流
- 経理
です。
生産管理/製造
営業が取ってきた受注情報を生産管理/製造に連絡し、得意先向けに製品を作ってもらいます。
受注には、どの製品を・いつまでに・いくら必要なのか というような生産できる情報を載せておきます。
物流
実際に生産に作ってもらった製品が保管されている自社倉庫から、得意先に出荷するために物流部門に連絡します。
この業務は、営業支援(バックオフィス)と物流部門が連携することが多いです。
経理
製品が得意先に届き、検品してもらったことを確認すると、営業(もしくは営業支援)が請求処理をします。
得意先から支払いをしてもらい、会社の銀行口座にお金が振り込まれたことを経理で確認し、売上を計上します。
物流
物流の業務内容
物流は、
- 自社内のモノの移動
- 仕入先から・得意先へのモノの移動の手配
をします。
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モノの移動はすべておまかせYo! |
基本的には調達・生産・営業などから依頼をもらい、モノの移動や社外への配送手配をします。
モノを移動させる際に、移動させるモノを間違えたらいけないので、間違い防止のために外箱にバーコード付きラベルを貼って、モノの管理をしてたりします。
部門間の業務
物流が隣り合う部門は、
- 調達
- 生産管理/製造
- 営業
です。
調達
調達が仕入先に発注したモノが仕入先から届き次第、入庫検品し、自社倉庫で保管します。
生産管理/製造
生産現場からの依頼で、仕入れた資材・原材料を製造現場へ払い出します。
生産現場で作られたものをいったん自社倉庫で保管します。
営業
得意先へ製品を出荷するために、配送手配をします。
出荷完了すれば、営業(もしくは営業支援)に連絡し、請求処理につなげてもらいます。
経理
経理の業務内容
経理業務は、日次・月次・年次業務に分けられます。
| 経費精算 | 日次 |
| 預金管理 | |
| 帳簿や伝票などの管理 | |
| 取引先の信用分析(与信管理) | |
| 月次決算書の作成 | 月次 |
| 予算実績管理 | |
| 給与計算 | |
| 請求・支払業務(掛金処理) | |
| 実際原価分析 | |
| 決算業務 | 年次 |
| 法人税等の申告・納税 | |
| 年末調整 | |
| 償却資産の申告 | |
| 次年度の予算編成 | |
| 標準原価計算 |
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要はもろもろのお金の出入りを管理して、年に1度決算しますよ!(キリッ) |
部門間の業務
経理が隣り合う部門は、
- 調達
- 営業
- 生産管理/製造
- その他部門
です。
調達
調達部門で確認した仕入先からの請求書を元に、月次で仕入先への支払業務をします。
営業
営業部門から得意先に送った請求書・得意先からの検収情報を元に、月次で得意先への請求業務をします。
生産管理/製造
製品の標準原価(これくらいのコストで作れるだろうという理論値)を年次で計算をします
実際の製造実績から実際原価(実際に製品を作るのにかかったコスト)を月次で計算し、標準原価と実際原価の差異を分析をします。
その他部門
各部門から上がった経費(出張旅費、備品購入などなど)の精算業務をします。
人事
人事の業務内容
人事の業務は、
- 人に関わるもの(採用・入社/退社手続き・教育・評価など)
- 金に関わるもの(給与・社会保険手続きなど)
があります。
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ヒトに関わる手続きやお金のことは全部やりますよ! |
部門間の業務
人に関わる業務で言えば、各部門への配属・異動があります。
金に関わる業務で言えば、
給与・社会保険などの支払いは、経理部門へ連携されます。
サマリ
SAP用語はなるべく避けて、初めての人でも分かりやすい言葉で、会社業務・関連する部門間の業務の解説をしました。
何となく会社業務の流れについて把握できたでしょうか?
SAPの1モジュールだけをやっていると、なかなか他のモジュール業務のところまで学ぶ機会はありませんが、SAPを導入する顧客からすると、会社業務全体が分かるSAPコンサルの方が、信頼感は厚いです。
SAPコンサルとして厚みを持たすために、少しずつで構わないので、会社業務の全体感を把握できるようにしていくことをおすすめします。
(参考)モジュールごとの業務
モジュールごとの業務プロセスをこちらの記事にまとめているので、より詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
















