原価センタ出庫とは、在庫簿外管理の部門にモノを融通させる場合に使用します。
この記事では、原価センタ出庫の使用ケース、処理方法について解説していきます。
原価センタ出庫とは
原価センタ出庫とは、在庫を引落し、費用を指定した原価センタにつけることを言います。
これだけだと、どういうこと??? ってなると思います。
まず、在庫は会社の資産であることを理解する必要があります。
イメージしやすいために、あなたの家を創造してください。
あなたの家には、テレビ・冷蔵庫・服・時計・食材 などなど、いろいろなものがあります。
そのモノ1つ1つに資産価値があります。
テレビ:10万円、冷蔵庫:15万円 といった具合です。
例えば、テレビを処分(出庫)したとき、あなたの家にある資産がテレビ分(10万円)減りますよね。
つまり、「資産が減る」=「費用(コスト)」ととらえることができます。
そのため、原価センタ出庫でも、出庫した品目をどの原価センタ(部門)の費用として付けますか? ということを指定してあげる必要があります。
原価センタ出庫の使用ケース
原価センタ出庫は、伝票参照なしの出庫のみの処理です。
そのため、シンプルにSAPから在庫がなくなるだけになります。
原価センタ出庫を使用するのは、SAPで管理している在庫を、SAP管理対象外の部門にモノを渡すときに使います。
具体的に言うと、開発部門・品質部門など、SAPで在庫管理しない簿外管理部門にモノを渡す場合です。
例えば、開発部門だとSAP上の生産活動とは関係のないところで、開発・研究を行っています。 その開発・研究には原材料を使用することはもちろんあります。 そのため、調達部門で管理している原材料を開発部門に融通してもらうケースはどの企業でもあると思います。
ここで気にしないといけないのは、開発部門はSAP上で在庫管理をしておらず、簿外で原材料を使って新製品などの開発・研究を行っている ということです。
そのため、調達部門 から 開発部門 へ 原材料を融通する場合、以下のような処理になります。
- 原材料 原価センタ出庫: SAP(調達部門保管場所) → 簿外管理(開発部門)
この原価センタ出庫をする際、「費用を付ける原価センタ(部門)」を指定する必要があります。
上の例の場合、モノは開発部門で使用されます。 そのため、原価センタに「開発部門」の原価センタを指定する必要があります。
(原価センタに開発部門を指定することにより、この費用は開発部門持ちだよ。よいうことを明示します。)
原価センタ出庫処理方法
それではSAPでの原価センタ出庫の処理方法について解説していきます。
入出庫なので、T-code:MIGO で実施していきます。
原価センタ出庫は、伝票参照なしのため、
- その他
- 出庫
- 移動タイプ:201
を指定します。
そして、
- 品目
- 数量
- プラント
- 保管場所
- ロット
- 原価センタ
- G/L勘定
を指定し、実行します。
原価センタ出庫でポイントになる項目が、原価センタ・G/L勘定です。
原価センタは、費用を計上したい部門を指定します。
G/L勘定は、他の移動タイプとは異なり、マニュアルで仕訳勘定を入力することができます。
例えば、開発部へ振り替える場合は、「開発研究費」。品質保証部へ振り替える場合は、「品質検査費」といった具合に、マニュアルでG/L勘定を指定することができます。
※つまり運用時に出庫パターンにより、どのG/L勘定を指定するかを製造部門などに周知が必要です。
サマリ
原価センタ出庫は、簿外管理部門に在庫を融通する場合に使用します。
開発部門や品質管理部門など、すべての部門の在庫をSAPで管理するわけではないので、これはどの企業でもあり得ることです。
「原価センタ出庫」と名前だけ聞くとよくわからない。となりがちですが、考え方・処理自体は至ってシンプルです。
この記事が原価センタ出庫がよく分からなかった方にとって、少しでも理解の手助けになれば幸いです。