【SAP】MMプロセスを概要レベルで解説!




この記事では、MM(購買管理)モジュールのプロセス概要とプロセスごとに出てくる伝票(トランザクション)について解説します。

プロセスの全体概要を理解することで、それぞれのトランザクションの細かい動きが理解できます。

まずはMMモジュールの全体プロセスを掴めるように、初心者の方でも分かるようにやさしく解説していきます。

全体プロセス

購買管理は、<購買依頼> → <購買発注> → <入庫> →  <請求書照合>という4つのプロセスで構成されます。

MM_プロセスフロー概要
  1. 購買依頼 で、所要量計画から or マニュアルで発注する品目・数量を購買依頼伝票に登録
  2. 購買発注 で、購買依頼をもとに仕入先の割当・価格を購買発注伝票に登録
  3. 入庫 で、購買発注伝票をもとに仕入先から届いたものを入庫し、在庫計上
  4. 請求書照合 で、購買発注伝票・納品書をもとに請求書照合で買掛金を計上

MMプロセスは、主にこの4つのプロセスの順番に流れます。

それでは1つずつ、どのようなプロセスなのか詳しく解説していきます。

 

購買依頼(ME51N)

購買依頼では、発注する品目・数量・納期を入力します。

購買依頼は、その品目を欲しい部門(製造部門など)が登録するケースが多いです。

そのため、購買依頼の段階ではどこの仕入先から買うか、価格をいくらで買うかは重要ではありません。

また、購買依頼はマニュアルで登録することもできますが、MRP(資材所要量計画)の機能により、計画手配から自動で購買依頼を登録することも可能です。

MRPについては、こちらの記事で解説しているので、詳しく知りたい方はご覧ください。

ノマドSAPコンサル
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https://tokulog.org/blog/20200914/mps_mrp/
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購買依頼伝票の構造

購買依頼伝票は、<ヘッダ> → <明細> の2段階構造になっています。

購買依頼伝票構造

購買依頼では、ヘッダにはテキスト情報くらいしか格納せず、すべて明細レベルに情報を保持します。

購買依頼のテーブルもEBAN(購買依頼)というテーブルのみで、ヘッダテーブル・明細テーブルに分かれていないのが特徴です。

 

購買発注(ME21N)

購買発注伝票は、購買依頼を参照し登録することが可能です。 参照登録することにより、品目・数量・納期の入力ミスを防げます。

購買発注伝票は、仕入先とやり取りをするデータのため、基本的には調達部門の方が登録します。

そのため購買発注伝票では、仕入先の割当・価格の設定をする必要があります。

仕入先・価格はマスタ登録しておくことにより、自動提案することも可能です。

購買発注伝票の構造

購買発注伝票は、<ヘッダ> → <明細> → <納入日程行> の3段階構造になっています。

3段階構造にはなっていますが、1明細(品目・数量)を別々の納入日付で仕入先に依頼をしたい場合に、納入日程行を分割します。

購買発注伝票構造

 

入庫(MIGO)

入庫は仕入先から発注したモノが届いた際に、発注伝票参照で入庫処理をします。

発注伝票を参照することにより、伝票上の品目・数量と実際に届いた品目・数量を比較することができます。

入庫処理をすることにより、<購入品 / 入庫請求仮勘定> という仕訳の会計伝票が入出庫伝票に紐づく形で自動登録されます。

 

また入庫時に在庫ステータスを利用可能在庫(使用可能な状態)で在庫計上したくない場合が想定されます。

<品質検査中在庫で受入>

品質検査をし、合格が出たのちに利用可能在庫としたい場合、入庫時に”品質検査中在庫”で入庫をすることができます。

この場合、品目マスタで品質検査タイプを割り当てる必要があります。

<入庫保留在庫で受入>

入庫時に自社資産としたくない場合は、いったん”入庫保留在庫”として入庫をすることができます。

この場合、移動タイプ:103で計上します。移動タイプ:103では”入庫保留在庫”として在庫計上されますが、自社資産にはなっていないため、会計伝票は登録されません。

発注入庫_在庫ステータス・移動タイプ

 

請求書照合(MIRO)

請求書照合では、発注伝票・入庫伝票・仕入先からの請求書を元に、比較チェックをします。

請求書照合は、発注伝票参照で登録できます。 そのため二重支払い計上を防ぐことができます。

請求書照合処理で買掛金を計上した後は、会計(FI)にて債務処理(支払)へとつながっていきます。

 

また、ERS(Evaluated Receipt Settlement:入庫請求自動決済)を使うことにより、入庫時に発注伝票・入出庫伝票を元に自動で請求書照合ができます。

ERSをするには、仕入先マスタ・購買情報マスタにERSフラグを設定しておく必要があります。

<仕入先マスタ>

入庫基準請求書照合・ERSの項目にチェックを入れる。

 

<購買情報マスタ>

入庫基準請求書照合の項目にチェックを入れる。ERS不可の項目のチェックを外す

 

サマリ

MMの概要レベルでのプロセスとそれに紐づく伝票の解説をしてきました。

派生形はあるものの、MMの基本は<購買依頼> → <購買発注> → <入庫> →  <請求書照合>という4つのプロセスです。

概要レベルを押さえられたと思うので、この考えをベースに各プロセスの理解を進めていってください。

また、ユーザに説明する際は、この概要レベルのプロセスと伝票について前提に説明し、要件定義・検討を進めていくとスムーズなので、必ず押さえておきたい内容です。




2 件のコメント

  • なかむら より:

    とくさん

    突然のDM失礼いたします。SAPの仕事をしている者です。

    とくさんのブログを見てSAPの勉強をさせていただいております。わかりやすい記事を書いていただきありがとうございます。

    現在私の周りにSAPについて教えてくれる人がおらず、大変恐縮ですがブログの記事内でわからない箇所を教えていただくことは可能でしょうか。

    ・MMの組織設定の記事につきまして

    ① 購買組織を中央集権的に配置するケースですが、私的にイメージが難しく、具体例を教えていただけますでしょうか。例えば卸業者が店舗に商品売買するケースはこのケースに該当しますでしょうか。

    ・MMのプロセスにつきまして
    ①移動タイプ103に関してです。入庫時に自社資産にしたくないケースも具体例を教えていただけますでしょうか。こちらもイメージがつかず、質問させていただきました。

    以上、お手すきの際に教えていただけますと幸いです。

    お手数ですが、よろしくお願いします。

    • とく より:

      コメントありがとうございます。
      質問に回答させていただきます。

      ①購買組織の中央集権的な配置のケース
      例えば、「トヨタ自動車株式会社」という会社に、1.コンパクトカー、2.SUV、3.レクサス という3つの事業部門があったとします。
      このときに、購買組織を3つの事業部門に分けたいか、トヨタ自動車株式会社として購買組織1つ(中央集権)としたいか、に寄ります。
      購買組織を1つにするメリットとして、購買情報マスタは購買組織をキーに設定するので、マスタメンテナンスが楽になります。
      一方で発注伝票の検索をするとき、コンパクトカー事業部門の発注伝票は、購買組織をキーに検索ができないので、他の項目を使用する必要があります。
      購買組織を3つ(分散型)にするメリットとしては、中央集権型の逆で、検索や分析のキーとして購買組織を使えます。
      一方でマスタメンテナンスを購買組織ごとにする必要があるので、マスタメンテナンス工数が増加します。
      どちらにしたいかはクライアント次第なので、要件定義で詰めていく必要があります。

      ②移動タイプ:103の使用ケース
      移動タイプは在庫として計上されますが、資産計上(会計仕訳)はされません。
      私も今まで1例しか経験はありませんが、発注したモノが届いたとき、品質検査で合格したモノのみを資産計上し、不合格であればそのまま返品する という運用をしているクライアントがいました。
      このクライアントでは要件で、届いたものを資産計上としない としていたので、移動タイプ:103を使い、在庫計上のみする。 検査合格後、資産計上する。という業務プロセス設計にしました。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。