【SAP】プラントについて徹底解説!

【SAP】プラントについて徹底解説!

プラントとは、英語で「工場」を意味します。

実際のSAPプロジェクトでも、工場や事業所単位にプラントを設定することが多いです。

しかし安易に工場単位にプラントを設定すると、後々修正が難しいので、プラント設定によってどのような影響があるかを事前に知っておく必要があります。

SAPの組織設定の上で、プラントをどういった粒度で設定するか、非常に重要なキーになります。

この記事では、プラントの役割・影響範囲について解説し、どのような粒度で設定すべきかの参考になる情報を述べていきます。

ぜひプラントについて理解した上で、要件定義に入ってみてください。

 

プラントの役割

そもそもプラントとはどういった役割を持っているのでしょうか?

SAPのプラントは、以下の2つの役割を持っています。

  1. 在庫数量の管理
  2. 在庫金額の管理

 

在庫数量の管理

まず第一に、プラントレベルで在庫数量がいくらあるかの管理ができます。

例えば、大阪工場を1つのプラントに設定した場合、大阪工場に各品目がいくらずつあるのか、在庫管理画面から確認することができます。

 

また、プラントよりも細かい単位(例えば、大阪工場の第3建屋の西通路など)で在庫数量を把握したい場合は、「保管場所」を使います。

保管場所は、プラントの直下に設定する組織で、プラント:保管場所=1:N で設定ができます。

そのため、細かい在庫数量管理は保管場所に任せて、大きな括りで在庫数量を見たい粒度でプラントを設定します。

プラント-保管場所

 

保管場所については、こちらの記事で解説しているので、気になる方は読んでみてください。

【SAP】保管場所について徹底解説!

 

在庫金額の管理

続いて重要なのが「在庫金額」の管理です。

ロジの人だと、あまり気にしない人もいますが、会計視点では重要なポイントです。

SAPではモノとカネが連動しているので、プラントに在庫資産がいくらあるかを把握するために使います。

 

例えば、1つの工場に2つの事業部が入っていたとします。

事業経理の視点で、「事業部ごとに在庫金額を分けて管理したい」という要件があれば、1つの工場ですが、2プラント登録することもあります。

 

そのため、工場の単位で安易に設定するのではなく、「在庫金額」の観点でどのような粒度で登録すべきかを確認する必要があります。

 

マスタ設定のキー

プラントは、マスタ設定のキーになります。

主に、品目マスタ+SD・MM・PPのマスタは、プラント単位で設定するマスタが多いです。

 

例えば、品目マスタを例にいうと、同じ「品目:ネジ」というマスタでも、プラント:大阪工場 と プラント:広島工場 では、品目マスタの設定値を別々で登録することができます。

具体的にいうと、このような項目をプラント別に設定値を変えられます。

  • 販売ビュー:製品部門、明細カテゴリグループ、輸送グループ、など
  • 購買ビュー:購買グループ、発注単位、納入日数、など
  • MRPビュー:MRPタイプ、調達タイプ、方針グループ、など
  • 原価ビュー:原価ロットサイズ、標準原価、など

 

例えば、大阪工場プラントではネジの標準原価を 10円 と設定し、広島工場プラントでは15円 と設定することができます。

 

プラントを分けたからといって、別々の値を設定しなければいけないわけではなく、あくまで別々の設定値を持たせることができる、ということです。

大阪工場プラントでも、広島工場プラントでも、ネジの標準原価をどちらも10円で設定することもできます。

あくまで工場が違えば、環境も変わるので、別々の設定値になる項目もあるよね? というのがSAPの考え方です。

 

プラントごとにマスタの設定値を変えられる柔軟性を持っているのがSAPの特徴の1つです。

しかし、プラントを細かく設定しすぎると、逆にマスタメンテナンスが大変になるので、設定粒度の検討で細かくなりそうであれば、注意が必要です。

 

プラント設定の考え方

ここまで説明したとおり、プラント設定では、

  1. 在庫数量
  2. 在庫金額
  3. マスタ設定のキー

の3つを考慮して、設定粒度の検討をする必要があります。

 

これまで私が経験したプロジェクトで1つ言えることは、「物理的な場所」をプラントに設定する方が、のちのちベター、ということです。

在庫金額のところで、1工場・2事業部ある場合、事業部レベルでプラントを設定する例を挙げましたが、私の経験したプロジェクトでは、経験の末、工場レベルでプラントを設定することになりました。

 

理由は、組織改編の懸念です。

要件定義の段階では、2事業部ですが、将来的に事業部が合併することもあれば、分離することも考えられます。

そのときに「在庫金額を事業部単位で見たい」という要件で、プラントを事業部単位に設定していれば、組織改編があれば、すべてを設定しなおす必要があります。

 

設定をしなおす必要があるというのは、プラントはマスタ設定のキーです。

組織改編のたびにプラントを登録しなおすことになれば、マスタをその都度洗い替える必要があります。

マスタは品目のみならず、SD・MM・PPなどのマスタにも影響し、マスタ同士のつながりもあるので、現実的に難しい対応です。

そのため、私のプロジェクトでは工場レベルでプラントを設定し、在庫金額は保管場所でフィルターをかけて見てもらう運用にすることになりました。

 

例えば、1工場に、食品事業部と医薬事業部があって、将来的に絶対組織改編はありえない、とユーザが言うのであれば、プラントを分けるのも1案です。

また、同じマスタでも事業部によって、設定値を変えたいのであれば、分けるのも1案です。

 

一概に工場(物理レベル)でプラントを設定すべき、とは言い切れませんが、組織改編やマスタ設定値だけの要件でプラントを分けるのは、後々のことを考えると危険なこともあるので、注意して検討していく必要があります。

 

まとめ

ここまででプラントの役割・設定粒度の考え方について解説してきました。

プラントはロジ領域のキーとなる組織ですが、ロジ領域だけでなく在庫金額の観点から会計領域の要件にも影響する組織設定です。

プラントには、以下の3つの役割があります。

  1. 在庫数量
  2. 在庫金額
  3. マスタ設定のキー

この3つの観点、そして将来的な組織改編なども視野に入れつつ、設定粒度を検討していくことをおすすめします。

関連記事(一部広告含む)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUT US

とく
製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。