【SAP】QMモジュール(品質管理)の概要ついて徹底解説!

SAPのモジュールの1つにQMモジュール(品質管理)があります。

QMモジュールはSAP導入において単体で使われることはなく、MM・PPモジュールとセットで使われます。

QMモジュールを使用することにより、品質検査プロセスと在庫ステータスを連携して管理することができます。

この記事ではSAP QMモジュール(品質管理)の概要について解説します。

品質管理プロセス

品質管理プロセスは、3つのStepで流れていきます。

  1. 品質検査ロット登録
  2. 品質検査記録
  3. 使用決定
品質管理プロセス概要

 

品質検査ロット登録(T-code:MIGOなど)

品質検査ロットとは、品質検査指示のことです。※ロットマスタとは、また別モノです。

品質検査ロットはマニュアルで登録することもできますが、自動登録もできます。

業務上、検査は品目が在庫計上されたとき(入庫されたとき)に実施します。

SAPでも発注入庫・製造指図入庫のタイミングで、品質検査ロットを自動登録することができます。

品質検査ロット登録イメージ

入出庫処理時に検査を発生させる・させないの制御は、品目マスタに「検査タイプ」の割り当てで制御します。

入庫のタイミングで品質検査ロットが登録され、在庫タイプも品質検査中在庫となり、使用できない状態になります。

 

品質検査記録(T-code:QA32など)

品質検査記録では、登録された品質検査ロットに対して、検査結果の記録を入力していきます。

例えば、「アルコール度数」という検査項目があれば、検査した結果のアルコール度数を項目に値を入力します。

この「アルコール度数」といった検査項目は、検査特性マスタにてマスタ登録しておきます。

また「アルコール度数」のしきい値(例えば、下限:5%・上限:7%)は、品質検査計画マスタにてマスタ登録しておきます。

検査特性・検査計画でマスタ登録をうまくすれば、だいたいのケースの品質検査業務に対応することができます。

 

使用決定(T-code:QA32・QA16など)

最後に検査の合否を品質検査ロットに対して登録します。これをSAPでは使用決定と呼びます。

使用決定で、

  • 合格 → 在庫タイプ:利用可能在庫
  • 不合格 → 在庫タイプ:保留在庫

と自動で在庫タイプが変わります。

使用決定と在庫タイプ

 

(Tips)品質検査システムがある場合のQMモジュール

SAPを導入するとき、すでに品質検査システムはある というクライアントも多いです。

品質検査システムは残置し、検査結果(使用決定)のみを連動させ、在庫タイプ管理はしたい という場合があります。

その場合、品質管理プロセスでは以下のような機能配置にすることで実現可能です。

品質管理_機能配置
  1. 品質検査ロットはSAPで登録 → IFで品質検査システムへ連携
  2. 細かい検査プロセスは、品質検査システムで実施
  3. 使用決定は品質検査システムで入力 → IFでSAPへ連携

ポイントは、”品質検査ロット”をキーに、検査指示・検査合否のやり取りをするところです。

SAP + 品質検査システムで実施する機能配置にした場合、品質検査ロットの登録単位・粒度をどうするかをシステム担当者間で詰めていく必要があります。

 

(参考)QMマスタ解説記事

ここまでで解説してきたプロセス(トランザクション)を実行するには、事前のマスタ設定がとても重要です。

こちらの記事でQMマスタについて解説しているので、ぜひ読んでみてください。

 

サマリ

ここまで品質管理のプロセスについて、概要レベルで解説してきました。

QMモジュールは、

  1. 品質検査ロット登録
  2. 検査記録
  3. 使用決定

の3Step で処理されることを理解いただけたかと思います。

QMモジュールを使用することにより、検査業務と在庫タイプを連動してシステム管理することが可能です。

SAPの機能の中でもQMモジュールはシンプルなので、ユーザ受けもいいです。

ぜひ概要レベルから押さえていただき、クライアントへの導入の参考にしていただけたらと思います。

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TK
製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。