SAPのバグ対応やマイナーバージョンアップ時には、3種類のパッチ適用方法があります。
- Note(ノート)
- SP(サポートパッケージ)
- SPS(サポートパッケージスタック)
この記事では、Note・SP・SPSとは何か、3つのパッチの関係、パッチ適用の使用ケースについて解説します。
SAPのパッチの種類
パッチとは、IT用語で「修正プログラム」のことです。
SAPもITシステムなので、パッチが存在しますが、パッチ適用方法は、
- Note(ノート)
- SP(サポートパッケージ)
- SPS(サポートパッケージスタック)
の3種類が存在します。
それでは、それぞれの定義について1つずつ説明していきます。
Note(ノート)とは
Noteとは、バグに対するピンポイントの修正プログラムのことです。
Noteには2種類あり、「システムに自動で適用するNote」と「マニュアルで対応するNote」があります。
今回、この記事で解説するパッチは、「システムに自動で適用するNote」の方を指します。
SAP Noteとは、広い意味でSAPの「エラー対応方法」のことを指します。
そのため、システムに自動適用するNoteとマニュアル対応するNoteの2種類が存在します。
SP(サポートパッケージ)とは
SP(サポートパッケージ)とは、コンポーネント単位で複数のNoteをまとめたものです。
コンポーネントとは、SAPの機能群のことです。
コンポーネントの例として、
- SAP_BASIS(SAP Basis Component)
- SAP_ABA(SAP Cross-Application Component)
- SAP_AP(SAP Application Platform)
- SAP_APPL(Logistics and Accounting)
- SAP_HR(Human Resources)
などなど、多種にわたります。
SP(サポートパッケージ)は、これらコンポーネントの単位で関連するNote(バグ修正プログラム)が1つにまとめられたものです。
SP適用の注意点として、前提SPレベルがあるということです。
何を言っているかというと、例えば、SAP_APPLのRelease:740、SP Level:0050 を適用したい場合、SAP_BasisのRelease:740、SP Level:0060 の適用が前提に必要。 という前提条件があります。
SP(サポートパッケージ)を適用する場合、適用したいSPレベルの前提条件を満たす、他のSPの適用も合わせて実施が必要です。
SPS(サポートパッケージスタック)とは
SPS(サポートパッケージスタック)とは、SP(サポートパッケージ)を1つにまとめたものです。
SPS(サポートパッケージスタック)は、SAP社が安定稼働バージョンとして、定期的に出してくれるものです。
SAPもシステムのため、年に2~4回はSPSを適用し、既知のバグに対する修正プログラム適用として、SPSを適用することを推奨しています。
SPSは、SAP社がSPをまとめてくれているので、こだわりがなければ、そのまま提供してもらった最新のSPSを適用する顧客が多いです。
SPS・SP・Noteの関係
SPS・SP・Noteの関係を図で表すとこのようになります。
- SPS:SPを1つにまとめたSAP社提供の安定稼働バージョン
- SP:各コンポーネントごとのNoteをまとめたパッチ
- Note:修正プログラム
SPS・SP・Noteの使いどころ
それでは、パッチ適用において、SPS・SP・Noteをどのようなケースで使い分けるか解説していきます。
【バグの即時修正対応をしたいケース】
この場合、Noteを適用します。
バグ(エラー内容)から、Support portalにてバグ修正のSAP noteを検索します。
その後、T-code:SNOTE にて、バグ修正のSAP Noteを適用します。
【定期メンテナンスでパッチ適用をしたいケース】
この場合、SPS適用(or プラスSP適用)をします。
月1回や四半期に1回の定期メンテナンスで、最新のSPSを適用します。
これは、SAP社が提供している安定稼働バージョンで最新のものにパッチレベルを上げておけば、今はまだ引っかかっていない潜在的なバグ修正もできるためです。
また、(or プラスSP適用)と書いたのは、プラスαで指定のコンポーネントのみ、SPSで提供されているSPレベルよりも最新のパッチレベルを適用するケースもあります。
これは例えば、SAP_HR(人事管理)など、法対応が含まれるコンポーネントは、最新のSPレベルにしておく方が、ベターという考えから、SPS で提供されているSPレベルよりも最新のSPレベルに上げておくことをします。
ここはアプリチームと要相談部分で、各コンポーネントで最新SPにしておきたいものがあれば、プラスαで特定のSPのみ追加でパッチ適用します。
サマリ
SPS・SP・Noteの関係について、解説してきました。
パッチ適用はBasisの守備範囲なので、あまりアプリが気にするところではありませんが、普段適用しているNoteとパッチ(SPS・SP)の関係が少しでも分かれば、バグ対応に役に立ったり、Basisとの共通言語となるので、アプリ担当者にも知っておいていただきたい内容です。