販売伝票タイプとは、受注伝票の動作をコントロールするキーとなる項目です。
それぞれの販売伝票タイプにより何が行われるかを理解し、業務ユーザとどのように販売伝票タイプを使い分けるか検討していく必要があります。
販売伝票タイプの理解は、販売プロセスの業務整理にも使え、販売トランザクションの一番のキーとなる項目です。
この記事では、どのような販売伝票タイプがあるか、それぞれどのようなコントロールがされるかを解説していきます。
販売伝票の構造
受注伝票は、<ヘッダ> → <明細> → <納入日程行>という3段階構造になっています。
ヘッダ:明細 = 1:N、 明細:納入日程行 = 1:N で紐づけることができ、以下のようなイメージで伝票登録ができます。

この<ヘッダ> → <明細> → <納入日程行>のそれぞれの動きや制御をするための設定項目が、<販売伝票タイプ> → <明細カテゴリ> → <納入日程カテゴリ>となります。

販売伝票タイプ・明細カテゴリ・納入日程カテゴリでは、カスタマイズにより様々な制御が可能です。
それでは、販売伝票タイプ・明細カテゴリ・納入日程カテゴリ で制御ができ、どのような伝票タイプ・カテゴリが標準であるのか解説していきます。
販売伝票タイプ
販売伝票タイプでは、このようなことが制御できます。
機能 | 具体例 |
販売エリア |
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番号範囲 |
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チェック |
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初期値設定 |
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取引先決定表 |
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価格決定表 |
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出力決定 |
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与信管理 |
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不完全決定表 |
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出荷計画 |
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販売伝票タイプは、伝票全体にかける制御についてカスタマイズで設定をしていきます。
次に、よく使われる販売伝票タイプを紹介します。
コード | 名称 | 使用ケース |
IN | 引合伝票 |
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QT | 見積伝票 |
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OR | 標準受注 |
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FD | 無償出荷 |
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SD | 代替無償出荷 |
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RE | 返品 |
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RK | 請求書訂正依頼 |
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CR | クレジットメモ依頼 |
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DR | デビットメモ依頼 |
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明細カテゴリ
続いて、明細カテゴリについてです。
明細カテゴリは、受注明細レベルのコントロールをする項目で、以下のようなことを制御できます。
機能 | 具体例 |
ビジネスデータのヘッダ・明細の整合チェック |
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後続プロセスの制御 |
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価格設定 |
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出荷設定 |
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請求設定 |
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納入日程行 |
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次に、よく使われる明細カテゴリを紹介します。
コード | 名称 | 使用ケース |
AFN | 引合の標準明細 |
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AGN | 見積の標準明細 |
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TAN | 標準受注受注 |
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TAK | 受注生産 |
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TANN | 無償出荷明細 |
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KLN | 無償出荷明細 |
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TATX | テキスト明細 |
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TAS | 仕入先直送 |
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TAB | 個別購買発注 |
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REN | 返品 |
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G2N | クレジットメモ依頼明細 |
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L2N | デビットメモ依頼明細 |
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納入日程カテゴリ
続いて、納入日程カテゴリについてです。
納入日程カテゴリは、受注納入日程行レベルのコントロールをする項目で、以下のようなことを制御できます。
機能 | 具体例 |
出荷関連 |
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移動タイプ |
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発注関連 |
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利用可能在庫確認 |
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所要量転送 |
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不完全チェック |
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次に、よく使われる納入日程カテゴリを紹介します。
コード | 名称 | 使用ケース |
AT | 引合納入日程 |
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BN | 見積納入日程 |
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CP | 受注納入日程(MRPあり) |
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CV | 受注納入日程(消費主導型MRP) |
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DN | 返品納入日程(MRPなし) |
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伝票タイプ・カテゴリの割当方法
続いて、納入日程カテゴリ → 明細カテゴリ → 伝票タイプの割当について解説します。
販売伝票タイプへの明細カテゴリの割当
明細カテゴリは、以下4つの項目をキーに設定します。
- 販売伝票タイプ
- 明細カテゴリグループ(品目マスタ(販売組織2)に明細カテゴリグループを指定)
- 明細用途
- 上位明細の明細カテゴリ
4項目をキーに、「自動提案される明細カテゴリ」と「マニュアル指定可能な明細カテゴリ」を設定します。
明細カテゴリへの納入日程カテゴリの割当
納入日程カテゴリも、明細カテゴリを販売伝票タイプへの割当と同様に、キー項目単位で割当設定をします。
納入日程カテゴリは、以下2つの項目をキーに設定します。
- 明細カテゴリ
- MRPタイプ(品目マスタ(MRP1)にMRPタイプを指定)
2項目をキーに、「自動提案される明細カテゴリ」と「マニュアル指定可能な明細カテゴリ」を設定します。
サマリ
販売伝票タイプ・明細カテゴリ・納入日程カテゴリについて、解説してきました。
ここまでの解説で、これら3つの項目が販売伝票におけるコントロールキーということを理解いただけたかと思います。
特に販売伝票タイプ・明細カテゴリは、クライアントの販売業務パターンを反映する必要があります。
そのため要件定義時には、販売伝票タイプ・明細カテゴリをどう設定するかを念頭に置きながらクライアントと検討をしていく必要があります。
細かい制御までの説明は不要ですが、クライアントも販売伝票タイプ・明細カテゴリ・納入日程カテゴリがどういうものかを理解していただいた方が検討もスムーズなので、簡潔に説明できるとベターです。