SAPでは標準項目以外に、ユーザ独自で使いたい項目を「特性項目」として、品目・ロット・バリアントに設定することが可能です。
ほとんどの企業ではSAP標準項目のみで業務に対応することができないので、ユーザ独自項目を持たせるために「特性項目」を設定します。
この記事では特性および特性に関連するクラスの設定方法について解説します。
品目マスタ・クラス・特性の紐づき
まず全体感を掴んでもらうために、設定の最終系を見せます。
ゴールは、品目に対してユーザ独自項目である「特性項目」を紐づけることです。
品目マスタに最終的に紐づけるのですが、特性項目と品目の間に「クラス」というものを設定します。
クラスとは、特性項目をグルーピングするものだと思ってください。(後ほどもう少し詳しく解説します)
このように、特性→クラス→品目マスタ と紐づけて、品目に対してユーザ独自項目を設定します。
それでは各項目や設定方法について1つずつ解説していきます。
特性(T-code:CT04)
特性とは、特性項目とも呼び、ユーザ独自項目のことです。
SAP標準項目のみでは業務運用ができない場合に、特性項目として項目を追加していきます。
例えば、サイズ情報である 高さ・幅・奥行、体積 や、
SAPロットとは別に、仕入先ロット・生産ロット・シーケンシャルナンバー など、
業務運用上、必要な項目を特性項目として作っておきます。
T-code:CT04 にて、特性項目を用意していきます。
特性項目では、以下の項目を設定していきます。
- 項目名(言語単位で設定可能)
- 技術項目名
- 桁数(30桁まで)
- データ型
- 入力必須チェック
- 入力値(選択型とする場合)
- など
項目のため、項目定義のイメージに近いです。
クラス(T-code:CL01)
クラスとは、特性項目をひとまとまりにしたグループのことです。
クラスは、クラスタイプというもので種類分けされます。
今回は主要な3つを紹介します。
クラスタイプ | クラスタイプ名 |
001 | 品目クラス |
023 | ロットクラス |
300 | バリアントクラス |
例えば、クラスタイプ:001(品目クラス)をキーに、
- クラス:ZM01(製品群Aの品目クラス)
- クラス:ZM02(製品群Bの品目クラス)
- クラス:ZM03(製品群Cの品目クラス)
といったように、特性項目をグルーピングしたい粒度で、クラスを設定していきます。
T-code:CL01 にて、クラスを設定します。
クラスでは、以下の項目を設定していきます。
- 特性項目
- 特性項目継承有無(上位クラスから項目値を引き継ぐかどうか)
- 特性項目上書き可否(項目値の上書きを許可するかどうか)
※特性項目数が多いと、パフォーマンスに影響するので、だいたい50くらいにするのがベターです。 あまりにも多い場合には、品目やロットのAppend項目とするのも、いち案です。
継承とは、例えば、品目クラスとロットクラスを1品目に対して割り当てていた場合、品目クラスの値をロットクラスに引き継ぐかどうかの設定をします。
以下の図を例にすると、品目クラスにもロットクラスにも、Z001・Z002・Z003を割り当てています。
例えば、この品目クラスのZ001・Z002のみを、ロットクラスにて「継承あり」としていた場合、ロットマスタ登録時に品目クラスの値をロット特性の値としてコピーされます。
続いて、特性項目の上書き可否ですが、例えばロットマスタ登録時・変更時に特性値の変更可否を設定します。
例えば、以下の図のようにロット特性のZ001を”上書き不可” としていた場合、ロットマスタ登録時や変更時に、企業番号:10001 というのは変更できない仕様になります。
特性項目の上書き不可は、マスタで設定している値を変更させたくない場合に使用します。
品目マスタ(MM01)
最後に品目マスタの設定です。
品目マスタには「分類タブ」にて、クラスタイプ・クラスを割り当てます。(※クラスタイプ:300(バリアント特性)は、MRP3ビューで設定します)
クラス割当後、特性の値をセットしていきます。
例えば、上書き可としている項目や、ロット特性でロットマスタ登録時に値をセットするような項目は、BlankのままにしておくでもOKです。
サマリ
特性を使用することにより、ユーザ独自項目をSAPに追加することができます。
どのクライアントに対しても使用することは多々あるので、設定方法について理解しておくと損しないです。
※特性は、品目・ロット・バリアント以外にもクラスタイプが多数用意されています。
他のマスタに対しても特性を設定することは可能です。
が、私は実際に使ったことがないので、設定方法がわからないです。。。
実際に使う機会があれば、設定方法を紹介していきます。