製造実績を計上するときに、複数の品目が生産されるケースがあります。
SAPでは1つの製造指図で複数品目が生産される場合、「連産品・副産物」という考え方を使って実現します。
この記事では、SAPの連産品・副産物の考え方・違いについて、SAPでの連産品・副産物の設定方法について解説します。
連産品・副産物とは
1つの製造指図で、複数の品目が生産されるケースがあります。
例えば、以下のようなケースがあげられます。
- 「1枚の鉄板」を切断し、車の「屋根部分に使う用の鉄板」と「バンパー部分に使う鉄板」を切断
- 「原油」を分留し、「ガソリン」と「灯油」と「軽油」と「重油」と「原油残」に分解
この例のように、1つの品目から複数の品目が生産されるケースを、連産品・副産物といいます。
連産品と副産物の違い
連産品・副産物の違いは、原価を按分するか・しないか の違いです。
- 連産品の場合、原価を按分する
- 副産物の場合、原価を按分しない(主製品のみに原価をオンする)
何を言っているか分からないと思うので、図を使って説明します。
例えば、原材料A:100 M2(1,000円) を 中間品B:60 M2 と 中間品C:40 M2 に切断する場合、
- 連産品は、数量見合いで、原材料A 1,000円 を 600円と400円に按分します。
- 副産物は、原材料A 1,000円 を主製品である中間品Bのみに原価をつけ、副産物である中間品Cは原価を按分しません。
どういった要件で、連産品・副産物を使い分けるかというと、複数できた品目に原価をオンしたいか・したくないかです。
そのため、経理・原価要件を確認する必要があります。
私の経験上、例えば、、、、
連産品は、次工程の中間品として使用するもの があたります。
「1枚の鉄板」を切断し、車の「屋根部分に使う用の鉄板(主製品)」と「バンパー部分に使う鉄板(連産品)」の場合、連産品である「バンパー部分に使う鉄板(連産品)」は、次工程の中間品として使われるので、連産品扱いとします。
副産物は、もう一度原材料として再使用するもの があたります。
「原油」を分留し、「ガソリン(主製品)」と「灯油(連産品)」と「軽油(連産品)」と「重油(連産品)」と「原油残(副産物)」に分解 の場合、副産物である「原油残(副産物)」は、再度、分留工程に再使用するので、副産物扱いとします。
SAPの連産品の設定
連産品は、品目マスタ・BOMマスタで設定が必要です。
<品目マスタ(連産品フラグ)>
MRP2ビュー の 連産品 にチェック を入れてください。
※注意事項は、主製品・連産品の両方にチェックを入れておく必要があります。
<BOMマスタ>
連産品の構成品目数量 を マイナスで入力 (構成品は出庫 という考えです。 連産品は生産入庫をしなければならないので、マイナス出庫=プラス入庫 という考えでマイナス数値としなければなりません)
連産品 にチェックを入れてください
<品目マスタ(等価係数)>
MRP2ビュー の 連産品製造プロセス のボタンをクリック
割当構成を登録(Noに1を入力、テキストは任意でOKです)
主製品と連産品の品目を入力
Eq に原価の按分比率を入力
等価係数を1:1にしたいのであれば、1をそれぞれの品目に入力してください。
生産数量の比率で原価が按分されるので、100 M2 を切断し、60 M2 と 40 M2 の品目ができる場合、構成品目の原価が、6:4の数量比率で原価按分されます。
例えば、牛肉をカットし、カルビ と ロースに切り分ける。 このときカルビの方が原価が高い(カルビ:ロースを2:1) としたい場合、カルビ:2、ロース:1と設定することで、2:1の比率で原価が按分されます。
SAPの副産物の設定
副産物は、BOMマスタで設定が必要です。、
<品目マスタ>
通常の品目と同様の設定でOKです。 ※連産品フラグはつけないこと
<BOMマスタ>
副産物の構成品目数量 を マイナスで入力
(マイナス入力する理由は、連産品と同じで、副産物は生産入庫をしなければならないので、マイナス出庫=プラス入庫 という考えでマイナス数値としなければなりません)
サマリ
製造業であれば、連産品・副産物の生産活動をする会社は多いと思います。
連産品・副産物のどちらにするかは、構成品の原価を按分するか・しないかがポイントです。
そのため、経理などの原価管理部門の要件ヒアリングをしたのちに、生産部門とSAPのマスタ設定をどうしていくか詰めていく必要があります。