【SAP】派生ロールについて徹底解説!

【SAP】派生ロールについて徹底解説!

派生ロールとは、ロール間で親子関係を作る機能のことです。

派生ロールを使うことにより、ユーザとへのロール割当が楽になるので、メンテナンス性が向上します。(仕組みについては後ほど解説)

この記事では、派生ロールとはどういう機能なのか、どのように設定するのか、どのようなシーンで使えるのか、ということを解説していきます。

(前提)SAPのロール・権限の考え方

派生ロールとは、SAPの権限ロールのいち機能です。

こちらの記事でSAPロール・権限について解説していますので、初めての方はこちらから読んでみてください。

【SAP】権限・ロールについて徹底解説!

 

派生ロールの仕組み

派生ロールとは、ロール間で親子関係を結ぶ機能のことです。

派生されたロール(子)は、派生元のロール(親)の設定をすべて受け継ぐ仕組みになっています。

 

言葉だけでは分かりづらいと思うので、イメージで説明していきます。

派生ロール_仕組みイメージ

まず、ロール:Z11 に、「T-code:MIGO」で「登録・変更・照会」ができるロールがあったとします。

ロール:Z11 を元に、派生ロールとして、Z21・Z22・Z23 を登録し、それぞれの派生ロールで「組織 プラント」を設定します。

この場合、ロール:Z21・Z22・Z23 は派生元のロール:Z11 の「T-code:MIGO」「登録・変更・照会」を引き継ぎます。

 

このように派生ロールでは、派生元のロールの設定を引き継ぐことができます。

 

派生ロールの設定方法

派生ロールは、派生先(子)側のロールに設定をしていきます。

【設定箇所】

  • 内容説明タブ:「派生元ロール」

この「派生元ロール」の項目に、派生元(親)側のロール名を入力するだけでOKです。

 

もし、派生元ロールを変更した場合、権限変更画面から、「権限」→「派生調整」→「派生ロール調整」をクリックすると、派生ロール側にも変更が反映されます。

 

派生ロールの有効な使い方

派生ロールは、使えるトランザクションコードやACTIVITYは共通化したいが、組織レベルでロールを使い分けたい場合に有用です。

例えば、トランザクションコード・ACTIVITYを、

  • 調達(担当者)
  • 調達(上長)
  • 販売(担当者)
  • 販売(上長)
  • 経理(担当者)
  • 経理(上長)

といったレベルで共通化します。

 

そして派生ロールとして、

  • 調達(担当者):プラント 1000
  • 調達(担当者):プラント 1001
  • 調達(担当者):プラント 1002
  • 調達(上長):プラント 1000
  • 調達(上長):プラント 1001
  • 調達(上長):プラント 1002

プラントレベル(組織レベル)で、それぞれの派生ロールを登録します。

派生ロール_有効な使い方

 

そして、各対象のプラントのユーザに「派生ロール」側だけを割り当てます。

派生ロール_ユーザ割当

派生ロールを使って何が嬉しいかというと、上の図の「調達(担当者)」という派生元ロールを共通化できることです。

共通化することにより、メンテナンス性を向上でき、ユーザへのロール割当も派生ロールのみでOKとなります。

 

サマリ

派生ロールは、派生元ロールを共通化・標準化し、組織レベルで派生ロールを使うことで、メンテナンス性を向上させることができます。

SAPのロール・権限設定では細かいところまで設定できますが、細かくしすぎると組織変更・人事異動時のメンテナンスが大変になります。

粒度が荒すぎてもオペレーションミスのもとになりますが、ある程度標準化しておいた方が組織変更・人事異動時のメンテナンスが楽になります。

権限設計次第ですが、派生ロールを使うことは権限の考えをシンプルにし、ERPを導入する=標準化する に沿ってもいます。

派生ロール自体を知らない方もいらっしゃるので、この記事をとおして、派生ロールのメリットを少しでも理解いただけたら嬉しいです。

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ABOUT US
TK
製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。