【SAP】品目元帳について徹底解説!

【SAP】品目元帳について徹底解説!

実際原価計算において、「品目元帳」を使うことにより、品目の原価差異を正確に計算することができます。

「品目元帳」は「別名:転がし計算」と言われ、下位の構成品目から上位の生産品目に原価差異を在庫残・消費数量ごとに数量按分し、ロールアップしていきます。

この記事では品目元帳機能について詳しく解説していきます。

実際原価計算の考え方

品目元帳は、実際原価計算のオプション機能です。

そのため品目元帳を理解するうえで、実際原価計算の考え方を理解しておく必要があります。

こちらの記事で実際原価計算について解説しているので、初めての方はこちらをまず読んでみてください。

 

品目元帳の考え方

品目元帳とは、下位の構成品目から上位の生産品目に原価差異を在庫残・消費数量ごとに数量按分し、ロールアップしていく機能のことです。

イメージを図式化すると、このようになります。

品目元帳_原価差異_ロールアップイメージ

各購買発注・製造指図で発生した原価差異が、上位の品目にロールアップされます。

これだけではロールアップってどういうこと??? と、はてなマークしか浮かばないと思うので、もう少し具体的に解説していきます。

 

原価差額按分

例えば、白米:10合 の購買発注で200円の原価差異が出たとしましょう。(標準原価:1,000円のところ、米の高騰により、1,200円で購入)

この購入した白米10合を、月次内に

  • 指図出庫:1合
  • 残在庫:9合

となった場合、このように原価差額が按分されます。

品目元帳_原価差異配賦

指図出庫:1合・残在庫:9合 のため、200円の原価差額は、1:9に按分されます。

  • 指図出庫:1合 に按分された原価差額は、在庫として消費されたため、当期費用扱い。
  • 残在庫:9合 に按分された原価差額は、まだ消費されていないため、次月繰越扱いとなります。

このように、消費・在庫の数量見合いで、原価差額が按分され、消費に按分された原価差額は上位の品目にロールアップされていきます。

 

原価差額ロールアップ

続いて、按分された原価差額が次の上位品目へロールアップされるイメージです。

生産品:ご飯 の構成品:白米・水 でそれぞれ原価差額が 200円・100円と出た時の、ご飯の原価差額の考え方をこちらの図を使って解説していきます。

品目元帳_原価差異配賦_ロールアップ

まず先ほど「原価差額按分」のところで解説したとおり、白米・水の原価差額按分は以下のようになります。

白米:10合 の原価差額 200円 を按分

  • 当期消費:1合(原価差額:20円)
  • 次月繰越:9合(原価差額:180円)

水:1000ML の原価差額 100円 を按分

    • 当期消費:600ML(原価差額:60円)
    • 次月繰越:400ML(原価差額:40円)

 

続いて、ご飯の原価差異についてです。

まず前月在庫分から消費された分は、今月に繰り越されている原価差額が乗ってきます。

(例えば、白米9合:原価差額 180円が次月繰越になっていますが、次月にこの白米9合が製造指図に払い出されたとき、180円が原価差額として品目:ご飯に実際原価として乗ってきます。)

そして、白米の購入価格差異からロールアップされた原価差額 20円も指図出庫されているので、乗ってきます。

水も同じ考えで、前月から繰り越された分と、今月の購入数量差異からロールアップされた60円が、品目:ご飯の実際原価として乗ってきます。

 

このように繰り越されてきた原価差額と、ロールアップされた原価差額が実際原価として乗ってきて、さらに次の上位品目へ原価差額がロールアップされる仕組みが、品目元帳だ。ということを理解いただけたかと思います。

 

サマリ

品目元帳を使うことにより、消費・在庫で原価差額が按分され、各階層の品目単位で正確な原価差額を把握することができます。

実際原価計算を使う方針のプロジェクトでは、この品目元帳を使うことがほとんどです。

考え方自体は、「消費・在庫で原価差額が按分され、次の品目へ原価差額がロールアップされる」というシンプルなものですが、ユーザには図を使って説明したほうが腹落ちしてもらいやすくなるので、ぜひこの記事を参考にユーザの理解を深めるために活用いただけたらと思います。

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TK
製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。