SAPの出荷の日程計画を使用することにより、得意先の指定納期から逆算して、いつまでに製品在庫を準備し、いつまでに倉庫から出庫しなければいけないかを算出することができます。
この記事では、出荷日程計画の仕組み・前提となるマスタ設定について解説していきます。
Contents
日程計画の考え方
まず出荷の日程計画を行う上で、5つの日付情報が登場します。
日付名 | 定義 |
納入日付 | 得意先に納入する日付 |
出庫日付 | 自社から出庫する日付 |
積載日付 | 出荷するために積載をする日付 |
品目利用可能日 | 出荷する品目の在庫が用意できる日付 |
輸送計画日付 | 輸送計画を開始する日付 |
これらの日付は、受注伝票-納入日程行の出荷管理タブに表示されます。
出荷の日程計画機能を使えば、納入日付(得意先が指定した納入してほしい日付)から逆算して、他の日付を算出し、いつまでに在庫の用意・積載・出庫をしなければいけないかをスケジューリングできます。
こちらがイメージ図です。

各業務をいつ実施するか、納入日付から「配送時間」「積送時間」「ピッキング/梱包時間」「配送手段手配日数」を使用し逆算(逆日程計画)して、それぞれの日付を算出します。
仮に日程計画で算出した日付が過去日となった場合、順日程計画で「本日」を基準に「ピッキング/梱包時間」「配送手段手配日数」から順番に計算される仕組みとなっています。
日程計画パラメータ設定
続いて、日程計画に使われる以下4つの項目はそれぞれ「出荷ポイント」と「輸送経路」にて設定できます。
項目 | 設定箇所 |
配送手段手配日数 | 出荷ポイント/輸送経路 |
ピッキング/梱包時間 | 出荷ポイント |
積送時間 | 出荷ポイント |
配送時間 | 輸送経路 |
出荷ポイント
出荷ポイントでは、「配送手段手配日数」「ピッキング/梱包時間」「積送時間」の3つの項目パラメータ設定ができます。
パラメータは、「日単位」or「分単位」で設定できますが、「分単位」の場合は、「稼働時間」に時間の設定が必要です。
「稼働時間」の入力をすると、日程計画も分単位で計画が算出されるようになります。
輸送経路
輸送経路では、「配送時間」・「配送手段手配日数」のパラメータ設定ができます。
サマリ
出荷の日程計画機能について解説してきました。
日程計画には、5つの日付があり、それぞれ設定されたパラメータ値によって日付が算出される仕組みとなっています。
日付名 | 算出パラメータ項目 | 設定箇所 |
納入日付 | 受注伝票で指定 | 受注伝票 |
出庫日付 | 配送時間 | 輸送経路 |
積載日付 | 積載時間 | 出荷ポイント |
品目利用可能日 | ピッキング/梱包時間 | 出荷ポイント |
輸送計画日付 | 配送手段手配日数 | 出荷ポイント/輸送経路 |
出荷ポイント・輸送経路ごとにパラメータのメンテナンスをしなければならないため、設定粒度が細かすぎてもメンテナンスが煩雑になるので、出荷ポイント・輸送経路の登録単位は影響を考えながら登録していく必要があります。
ただしパラメータをうまく設定すれば、自動で正しい出荷計画が立てられるので、クライアント受けの良い機能となります。(生産計画にも良い影響を与えます)
この記事を使って、クライアントへ日程計画の考え方を説明し、うまく使えるように立ち回ってもらえればうれしいです。