【SAP】SD伝票フローとコピー管理について徹底解説!

SDモジュールのトランザクションは、<受注> → <出荷> →  <請求> という3つのメインプロセスの順番に流れていきます。

このとき、<受注> → <出荷> →  <請求>と、伝票の内容が引き継がれていく必要があります。(出荷伝票や請求伝票を登録するたびに、都度マニュアルで得意先・品目・数量などを入力していては、入力ミスも発生しますし、手間が半端ないですからね)

伝票の内容を引き継ぐために、SDモジュールには「コピー管理」という機能・設定があります。

この記事では、伝票フローとコピー管理について解説していきます。

伝票参照の伝票登録と伝票フロー

まず前提として、受注伝票・出荷伝票・請求伝票は、他の販売管理伝票を参照し、伝票登録が可能です。

パターンとして、以下があります。

パターン 使用ケース
受注伝票 → 受注伝票 リピート受注の場合、過去の受注を参照し登録
請求伝票 → 受注伝票 請求後、返品のための返品受注を登録
受注伝票 → 出荷伝票 受注から出荷するための出荷伝票登録(通常パターン)
受注伝票 → 請求伝票 デビットメモ・クレジットメモの受注伝票から請求伝票登録(出荷が伴わない場合)
出荷伝票 → 請求伝票 出荷から請求するための請求伝票登録(通常パターン)
請求伝票 → 請求伝票 請求後、請求取消時に使用

 

パターンを伝票フローに表すとこのような形になります。

伝票フローパターン

また、それぞれの伝票登録画面に参照伝票を入力し、伝票登録を開始します。

 

コピー管理

SD伝票は、基本的に伝票参照で伝票登録し、伝票をつなげていくことを理解いただけたかと思います。(新規受注などは参照なしで登録ですが)

伝票がつながっていくため、前の伝票の情報を引き継ぐ必要があります。

SAPでは、「コピー管理」という機能を使って、前の伝票情報を引き継ぐ設定をします。

 

コピー管理のパターン・設定イメージ

コピー管理は、参照伝票登録のパターンごとにトランザクションコードが用意されており、それぞれ設定していきます。

パターン T-code
受注伝票 → 受注伝票 VTAA
請求伝票 → 受注伝票 VTAF
受注伝票 → 出荷伝票 VTLA
受注伝票 → 請求伝票 VTFA
出荷伝票 → 請求伝票 VTFL
請求伝票 → 請求伝票 VTFF

※それぞれのトランザクションコードで設定項目は変わりますが、設定イメージは同じです。

 

コピー管理設定のポイントは、以下2点です。

  1. コピーを可とするFrom伝票タイプ・To伝票タイプ同士で設定
  2. ヘッダ・明細・納入日程行 各レベルで設定
コピー管理設定イメージ

 

イメージが湧きにくいと思うので、実際の設定画面を見てみましょう。以下2つのポイントで設定していくことが分かると思います。

  1. コピーを可とするFrom伝票タイプ・To伝票タイプ同士で設定
  2. ヘッダ・明細・納入日程行 各レベルで設定

 

コピー条件・データ転送

設定画面では主に「コピー条件」「データ転送」の2つを設定します。

  • コピー条件:伝票コピー時に、コピーしてもよいかの項目チェックの制御
  • データ転送:参照伝票からデータのコピー方法を指定

 

<コピー条件>

  • コピー元・コピー先の販売エリアが同じか
  • 得意先が同じか
  • 拒否理由が入っていないか
  • ステータスが完了になっているか

などのチェックをかけます。

<データ転送>

  • コピー元の値をそのままセット
  • 新規で値をセット

といったコピー方法を指定します。

 

サマリ

SD伝票のフローと、伝票間のコピー管理について解説してきました。

SDの伝票は、基本的に参照登録されるケースが多いです。

そのため、この「コピー管理」の理解・設定が重要になります。

まずはクライアントと商流を確認し、考えられる伝票フローを洗い出したのちに、コピー管理のカスタマイズをしていく必要があります。

コピー管理をうまく設定すると、伝票入力の手間が大幅に削減できるので、クライアントときっちり詰めていきましょう。

 

ヘッダ・明細・納入日程行のつながりを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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TK
製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。