督促(とくそく)とは、得意先にお金の支払いを要求することです。
督促は、会社と得意先の間で結ばれた契約(ルール)に基づいて行われます。
また期日を過ぎてしまった請求に対して、利息を上乗せすることもできます。
どの企業でも、得意先が支払遅れ、支払忘れは起こるので、SAP導入時には検討が必要なプロセスです。
この記事では、督促をするための設定方法・プロセスの流れについて解説していきます。
督促処理するための事前設定
督促処理では、以下の設定をしておきます。
- 督促領域
- 督促キー
- 督促保留理由
- 督促処理
すべて、T-code:SPROから設定していきます。
パス:IMG → 財務会計(新規) → 債権管理および債務管理 → 取引 → 督促 の下に設定メニューがあります。
それでは1つずつ、設定内容について解説していきます。
督促領域
「督促領域」とは、督促する範囲を督促領域として設定します。
督促領域には、販売組織や利益センタを指定します。
※督促を会社コードレベルでする場合は、設定は不要です。
会社コード内で督促をする・しない を使い分けたい場合、督促領域を使用します。
督促キー
「督促キー」は、債務明細を督促レベルごとに制御したり、督促状に印刷する・しない のキーに使います。
督促保留理由
「督促保留理由」は、督促をしない理由を予め登録しておきます。
例えば、
- 商品不良のため
- 返却対応中のため
- 請求書確認中のため
など、督促しようと思ったが、理由があって督促をやめる理由を、予め登録しておきます。
督促保留理由は、請求書明細レベルで使用できます。
督促処理
「督促処理」の設定は、督促プロセスの重要な設定です。
督促処理では、督促レベルごとの督促間隔日数・督促の手数料・利息をつけるかつけないか・督促をする最低限の金額などを設定します。
督促処理は、得意先マスタに割り当てます。
そのため、得意先によって督促の内容を変えたい場合は、それぞれ督促処理を登録します。
催促処理では、以下の項目を設定していきます。
分類 | 項目 | 設定内容 |
概要 | 督促処理 | 4桁のキー番号 |
名前 | 督促処理のテキスト | |
督促間隔 | 督促をする日単位の間隔(10日おきなど) | |
督促レベル数 | 督促レベルの数(督促レベルによって、利息の有無などの設定が可能) | |
最小延滞日数 | 延滞できる最小の日数 | |
猶予期間 | 督促状の期日を計算するときに考慮される猶予期間 | |
利息区分 | 利息の計算に使われるキー | |
祝日カレンダーID | 督促日を計算するときに、祝日を考慮するために、祝日カレンダーIDを設定 | |
督促レベル | 延滞日数 | 督促レベルごとに延滞が可能な日数 |
利息計算 | 督促レベルごとに利息を計算するか、しないか選択 | |
全明細印刷 | 得意先の残高全体を把握するために、全明細を印刷 | |
手数料 | 最小督促金額 | 督促レベルごとの手数料をもらう最小の督促金額 |
督促手数料 | 督促レベルごとの督促手数料金 | |
最小金額 | 最小金額 | 督促するのに下限の金額(最小金額か最小パーセントのどちらかを設定) |
最小パーセント | 督促するのに全額の何パーセントあれば督促するか(最小金額か最小パーセントのどちらかを設定) | |
最小利息額 | 督促レベルごとの最小利息額 |
設定が完了すれば、保存ボタンをクリックします。
督促処理は、得意先マスタに割り当てます。
得意先によって、督促の動作を変えたい場合は、それぞれの督促処理を登録し、それぞれ使いたい督促処理を得意先に割り当てるようにます。
督促プロセス(T-code:F150)
督促プロセスは、4つのステップがあります。
- パラメータ入力
- 督促提案
- 督促提案内容確認
- 督促状出力
プロセスのイメージは、こんな感じです。
督促は、
- 請求書が猶予期限が過ぎていること
- 得意先に督促処理が割当られてること
の両方が対象となる、請求に対して督促がされます。
それでは、督促プロセスの4つのステップを1つ1つ解説していきます。
督促は、すべてT-code:F150 で実施されます。
パラメータ入力
タブ | 項目 | 設定内容 |
ヘッダ | 実行日 | 支払いをする日付 |
認識名 | 自動支払を識別するためのID(いつ・どこむけなど、IDから識別できるように運用を決めておくとベター) | |
パラメータ | 督促日 | 督促する日付 |
伝票転記日 | いつまでに転記された請求伝票を対象とするか | |
会社コード | 督促をする会社コード | |
得意先 | 督促をする得意先 | |
自由選択 | フィルタリングをかける項目に値を指定 | |
追加ログ | 督促で出力が必要なログ項目にチェック |
督促提案
パラメータを入力できれば、T-code:F150 の「スケジュール」ボタンをクリックします。
クリックすると
- 即時実行
- スケジューリング
の2タイプを選べます。
即時実行にすると、即提案が出てきますし、スケジューリングすると指定した日時に提案処理が行われます。
提案処理を実行すると、画面上でステータスの確認ができます。
提案処理が完了すると、ステータスタブで、督促する明細数が確認できます。
督促提案内容確認
督促提案が終われば、T-code:F150 の「督促一覧」からどの明細を督促するかを確認します。
督促提案に問題がなければ、督促状の出力をします。
督促状出力
T-code:F150 の「督促状印刷」をクリックします。
クリックすると
- 即時実行
- スケジューリング
の2タイプを選べます。
実際に印刷が終わると、ステータスタブで、完了したことを確認できます。
出力した督促状は、T-code:SP02(スプール依頼照会)で見ることができます。
T-code:SP02 から督促状を印刷することができます。
ここまでで、督促の4つのプロセスについて解説してきました。
督促は、SAP画面を見ながら実行することもできますが、スケジューリングし自動で実行することもできます。
同じルールどおりに、督促するのであれば、毎日実行するようにスケジューリングすることをおすすめします。
まとめ:督促には前提設定と4つのプロセスステップがある
督促をするためには、
T-code:SPRO(メニューパス:IMG → 財務会計(新規) → 債権管理および債務管理 → 取引 → 督促) で各種前提設定をしたのち、
T-code:F150 で督促処理をしていきます。
どこの企業でも、得意先の支払遅れ・支払忘れはあります。
そのため、督促はどこの企業でも、どういう決まりで督促していくかを確認し、設定していく必要があります。
督促し、実際に得意先からお金の支払いをされれば、債権プロセスに繋がっていきます。