【SAP】仕入先受託在庫について徹底解説!

【SAP】仕入先受託在庫について徹底解説!

仕入先受託在庫とは、仕入先との契約により、モノは自社にある状態だが、資産上はまだ仕入先にある在庫のことです。

この記事では、仕入先受託在庫とは何か、仕入先受託在庫を使用したプロセス、在庫照会方法、前提設定について解説していきます。

仕入先受託在庫とは

仕入先受託在庫とは、モノは自社にある状態だが、資産上はまだ仕入先にある在庫のことです。

仕入先受託在庫の位置づけ

※得意先預託在庫と逆の考え方になります。

得意先預託在庫の解説記事はこちらです。気になる方は読んでみてください。

【SAP】得意先預託在庫について徹底解説!

【SAP】得意先預託在庫について徹底解説!

 

SAP上、特殊在庫区分の1つとして管理され、特殊在庫区分:K(受託在庫)として表されます。

 

仕入先受託在庫は、別名VMI(Vendor Management Inventory)とも言われ、Vendor(仕入先)が管理している在庫を自社で使った分だけ費用支払いする方式です。

 

日本で有名なのが「富山県の薬売り」で、富山県では一家に1つ医薬品メーカーから支給された薬箱があります。

薬箱をもらった段階ではまだ支払いは発生せず、使った分だけメーカー(仕入先)に支払いをします。

つまりモノ(薬)は各家庭(自社)にある状態なんだけど、資産はまだメーカー(仕入先)のもの。 そして各家庭(自社)が使用した分だけメーカーに支払いをする、という仕組みです。

 

仕入先受託在庫のプロセス

仕入先受託在庫プロセスは、2つに分かれています。これから2つのプロセスについて、それぞれ詳しく解説していきます。

仕入先受託在庫プロセスの全体概要

まずは2つのプロセスがどのような関係になっているかを、こちらの全体図を使って説明していきます。

仕入先受託在庫_全体概要

仕入先受託在庫プロセスは、

  • 購買発注
  • 出庫 or 利用可能在庫振替

の2プロセスから成り立ちます。

 

購買発注(仕入先受託)

購買発注(仕入先受託)は、仕入先から自社へモノを発注・入庫するプロセスです。

通常の購買プロセスと異なる点は、仕入先受託在庫となるため、入庫後に請求書照合が発生しないところです。

そのため、発注 → 入庫 というプロセスのみになります。

 

こちらがプロセスフローです。(カッコ内にトランザクションコードを記載しています。)

仕入先受託在庫_購買発注
  1. 購買発注伝票登録(T-code:ME21N)
  2. 発注入庫(T-code:MIGO)

2.発注入庫をすると、発注した仕入先配下の受託品在庫として在庫計上されます。

 

ポイントは、購買発注伝票で明細カテゴリ:K(受託品)を選択することです。

明細カテゴリ:K(受託品)を指定されていることにより、後続の発注伝票参照の発注入庫で自動的に特殊在庫区分:K(受託品)が付いた状態で入庫処理ができるようになります。

 

出庫 or 利用可能在庫振替

出庫 or 利用可能在庫振替は、仕入先受託在庫から在庫を引落す or 自社在庫に振り替えるプロセスです。

出庫の場合、仕入先受託在庫から在庫が引き落とされます。

利用可能在庫振替の場合、仕入先受託在庫から利用可能在庫(自社在庫)に振り替えられます。

仕入先受託在庫から使われた もしくは自社在庫に振り替えられた分だけ、仕入先に支払いをしなければなりません。

そのため、仕入先受託品から出庫 or 利用可能在庫振替の後に請求書照合処理をします。

 

こちらがプロセスフローです。(カッコ内にトランザクションコードを記載しています。)

仕入先受託在庫_出庫・利用可能在庫振替
  1. 出庫 or 利用可能在庫振替(T-code:MIGO)
  2. 受託品請求書照合(T-code:MRKO)

1.出庫 or 利用可能在庫振替をすると、仕入先受託在庫が引き落とされます。

 

出庫の場合、移動タイプは出庫関連のものであれば何でもOKです。 ただし、特殊在庫区分:K(受託品)を指定する必要があります。

利用可能在庫振替の場合、移動タイプ:411 特殊在庫区分:K(受託品)を指定します。

 

請求書照合は、受託品専用のトランザクションコードのMRKOを使用します。(通常購買はT-code:MIRO)

 

仕入先受託在庫 照会方法

仕入先受託在庫は、T-code:MB54 にて在庫照会画面がSAP標準で用意されています。

品目・プラント・保管場所・ロット・仕入先単位で条件選択し、照会が可能です。

 

仕入先受託在庫の前提設定

ここで、仕入先受託在庫を使用するための前提の設定についてお話しておきます。

前提として2つ事前設定をしておく必要があります。(コンフィグ:1つ、マスタ:1つ)

コンフィグ

T-code:OMEV から、「購買情報レコードの受託品有効化」をしておきます。

 

購買情報レコード

コンフィグで購買情報レコードの受託品有効化をしたうえで、仕入先 x 品目で受託品の情報をマスタ設定しておきます。

T-code:ME11(購買情報レコード登録)の初期画面にて、「受託品」を選択し、受託品の価格情報について設定をしておきます。

 

サマリ

ここまでで仕入先受託在庫とは何か、プロセスフロー、在庫照会トランザクション、そして前提設定について説明してきました。

仕入先受託在庫として扱う・扱わないは、仕入先との契約により決まります。

件数としては少ないですが、どこの企業でもありうる業務ですので、SAPでも標準機能で実現可能ということを知っておいてもらえればと思います。

ニッチ機能ではありますが、この記事をとおして仕入先受託在庫について理解が少しでも深まったのであれば、幸いです。

 

(参考)特殊在庫区分一覧

仕入先受託在庫は、「特殊在庫区分」のうちの1つです。

SAPは他にも特殊在庫区分があり、こちらの記事にまとめています。

他の特殊在庫区分も知りたい方は、こちらの記事を参考に読んでみてください。

【SAP】特殊在庫区分一覧

【SAP】特殊在庫区分一覧

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1 個のコメント

  • もふ犬 より:

    コンフィグとマスタのところまて解説があり大変参考になります。日本語サイト少ないので有り難いです…

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    ABOUTこの記事をかいた人

    製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。