SAPの棚卸伝票を使用し、実地棚卸の結果(現場の在庫数量)を入力した後、在庫数量差異があるので、修正したいケースがあります。
SAPの棚卸データの変更方法は2パターンあります。
この記事では、棚卸データの変更方法2つのそれぞれの使用シーンと、SAPでの操作方法を解説します。
SAPの棚卸伝票を使用したプロセスのため、こちらの記事をまだ読んでいない方は、まずこちらを読んだうえで、この棚卸データ変更方法の記事を読んでいただくと、より理解が深まるかと思います。
棚卸プロセス・棚卸データの入り方
棚卸プロセスは、①棚卸伝票登録、②棚卸検数入力、③棚卸差異確認・棚卸決済 の3Stepで処理されます。
棚卸伝票登録・棚卸検数を入力すると、以下の表のように、
- 棚卸伝票登録で「棚卸帳簿数量(SAP在庫数量)」
- 棚卸検数で「検数(棚卸数量)」
のデータが入ります。
この情報を前提に、②棚卸検数入力 から ③棚卸決済 までの間の棚卸データの変更方法について、説明します。
棚卸データ変更方法【2パターンあります】
「棚卸帳簿数量(SAP在庫数量)」 と 「検数(棚卸数量)」のデータがあることは、理解いただけたかと思います。
棚卸の結果、差異が大きい場合、棚卸データに異常がないか確認する運用となります。
棚卸差異の原因として考えられるのは、次の2つです。
- 実地棚卸による棚卸検数入力が間違えていた
- 月中の入出庫が間違えていた、漏れていた
実際の棚卸検数入力が間違えていた場合、棚卸検数変更をします。
月中の入出庫が間違えていたり、漏れていた場合は、入出庫修正対応をします。
【棚卸検数を変更するパターン】
「実地棚卸による棚卸検数入力が間違えていた」という可能性がある場合、再度現場に行って再棚卸をし、検数(棚卸数量)の変更をします。
T-code::MI05(棚卸検数変更)により、一度入力している棚卸検数の数量を変更することができます。
検数変更をすると、検数が書き換わり、棚卸差異数量も変更されます。
例えば、下の表のように、初回に90と入力していましたが、再度現場を確認し、在庫数量が95であったため、棚卸検数変更で95と入力します。
すると、棚卸検数が、90→95に変更され、棚卸差異が10→5に変わります。
【月中の入出庫伝票を変更するパターン】
「月中の入出庫が間違えていた、漏れていた」という可能性がある場合、月中に登録した入出庫伝票を確認し、入出庫伝票の登録しなおしをします。
生産入庫の数量を打ち間違えていたり、廃棄したのにSAPに出庫計上し忘れている場合などが考えられます。
例えば、棚卸伝票の在庫数量(SAP上の在庫数量)が100だったとき、月中の廃棄出庫忘れ3を追加で計上した場合、棚卸伝票の帳簿数量が100→97に変わります。
この入出庫伝票登録時に注意が必要なのが「転記日」です。
例えば、棚卸を月末6/30に実施し、棚卸差異確認が7/1になったとします。
6月の入出庫伝票の修正をしたいので、転記日を6月の日付で計上しなければ、棚卸帳簿数量に反映されません。
サマリ:修正したい値によって変更方法を使い分ける
棚卸データの変更方法は、次の2つがあることをお話ししました。
- 棚卸検数:棚卸検数変更(再度実地棚卸)
- 棚卸帳簿数量:入出庫伝票(月中の入出庫伝票の見直し)
棚卸をした結果、棚卸差異が大きいことは運用上どの会社でも考えられます。
SAPでは、棚卸検数が間違えていたケース、月中の入出庫伝票が間違えていたケースの2つに対応しています。
どちらのケースでも対応可能なので、ユーザーに現行運用を確認し、SAP導入後の業務運用を固めていけるようにしましょう。
(参考)棚卸関連記事
棚卸関連の記事を合わせて読むことで、SAPの棚卸について理解が深まるので、ぜひこちらの記事も読んでみてください。
棚卸プロセスでデータの推移を表示されている表の最初のもの(帳簿数量、在庫数量、両方変更前)ですが、決裁時の棚卸差異数量、入出庫数量は-5ではなく―10ではないですか?