SAPではロット管理している在庫に対して、「有効期限日」・「次回検査日」を保持することができます。
「有効期限日」・「次回検査日」を持つことにより、有効期限切れのロットを使用不可にしたり、次回検査日切れのロットを再検査したり、SAPで管理することができます。
この記事では、どのように有効期限日・次回検査日が決まるか、どのように設定するか解説します。
有効期限日・次回検査日の考え方
まず有効期限日・次回検査日とは何かについて説明します。
有効期限日はイメージしやすいと思いますが、使用不可になる日付のことです。
次回検査日は、有効期限日にはまだ達していないんだけど、使用できるか一度検査してみましょう という日付です。
有効期限日・次回検査日は、ロット単位で値を保持できます。
ロットマスタについて知りたい方は、こちらを読んでみてください。
以下が有効期限日・次回検査日のイメージです。
製造日付が10/1 だったとき、有効期間を90日と設定していた場合、有効期限日は12/30 になります。
検査間隔を30日と設定していた場合、次回検査日は10/31 になります。
(※その次の次回検査日は10/31 の再検査合格日から30日後ですが、図では分かりやすくするために10/31 の30日後の11/29 にしています。 例えば、再検査合格日が11/1 だった場合、次回検査日は12/1 になります。)
また、有効期限日超過・次回検査日超過をすると在庫タイプが以下のように変わります。
次回検査日超過の場合、利用可能在庫→品質検査中在庫に変わります。 再検査を実施し、合格であれば再び利用可能在庫へ、 不合格であれば保留在庫に変わります。
有効期限日超過の場合、利用可能在庫→保留在庫に変わります。 有効期限日切れの保留在庫は基本的に廃棄出庫するプロセスになるクライアントが多いです。
有効期限日超過・次回検査日超過は、「期限監視モニタ」という機能を使用し、ロット単位でチェックをします。
期限監視モニタについては、別記事を作成予定なので、少しお待ちください。。
有効期限日・次回検査日の設定方法
まず有効期限日・次回検査日を算出するための「期間」設定について説明します。
図でいうと、有効期限日を算出するための90日間、次回検査日を算出するための30日間の設定です。
有効期限日・次回検査日ともに、品目マスタにて設定します。
総有効期間(有効期限日算出期間)
品目マスタ-プラント・保管場所1ビュー の「総有効期間」にて設定します。
設定単位は、日・週・月が指定可能です。
検査間隔(次回検査日算出期間)
品目マスタ-プラント・品質管理ビュー の「検査間隔」にて設定します。
設定単位は、日のみです。
また次回検査日超過の際に、品質検査中在庫にステータス変更 かつ 品質検査ロット登録をするために、検査タイプ:09 も割り当てておく必要があります。
品質検査のための品目マスタ設定について詳しく知りたい方は、こちらを読んでみてください。
有効期限日・次回検査日の起算日の考え方
有効期限日・次回検査日は、入出庫伝票の「製造日付」を起算日とし、品目マスタに設定している総有効期間・検査間隔 から算出されます。
入出庫伝票登録時に製造日付がBlankの場合、入庫日が製造日付となります。
基本的には入庫日を使用します。 自社の内製品は入庫日とするケースがほとんどです。
では、製造日付をマニュアルで入力するケースは、どのようなケースかというと原材料の有効期限日・次回検査日を自社に入庫した日ではなく、仕入先の製造日を元に算出する場合です。
仕入先で製造された日が4/1。6か月間仕入先で保管されたものが10/1に入荷されたとき、本来は4/1から有効期限日・次回検査日を算出すべき、という考えのクライアントでは仕入先の製造日を入出庫伝票登録する際にマニュアルで製造日付を入力します。
とはいえ、仕入先から製造日情報をいただく必要があるので、仕入先との調整が必要です。
サマリ
有効期限日・次回検査日の考え方、設定方法について解説してきました。
ロジのモジュールを導入する場合、ロット在庫の有効期限日・次回検査日も合わせて管理したいというクライアント要望は往々にしてあります。
設定自体は品目マスタのみなので超絶カンタンです。
あとは「製造日付」のところを理解していただければ、スムーズに導入できると思うので、ブログの図などを流用して、クライアントに説明いただければと思います。