総勘定元帳管理では、会社のすべてのお金のやり取りを管理します。
総勘定元帳は、SAP FIのFI-GLサブモジュールにあたり、総勘定元帳=GL(General Ledger)の略です。
総勘定元帳では、会社のすべての会計取引が管理されるため、SD(販売)やMM(調達)を起点に得意先・仕入先とやり取りした売買金額の情報も連携されます。
いわば、SAP FIの中心サブモジュールと言えます。
この記事では、総勘定元帳(FI-GL)とは何か、総勘定元帳の転記プロセスについて解説していきます。
総勘定元帳(GL)とは
「総勘定元帳」とは、会社のすべてのお金の取引を管理する台帳のことです。
そのため、総勘定元帳にはこのようなお金のやり取りが記録されていきます。
- 得意先からのお金の受取
- 仕入先へのお金の支払
- 銀行口座への振込・引出
- 税務署への税金の支払
- などなど。。。
このように、すべてのお金のやり取りが自動で記録 or マニュアルで記録をしていきます。
自動で記録と言いましたが、SAPは販売・調達機能もあります。
そのため、販売での売上(債権)・調達での支払(債務)が自動で連携される仕組みになっています。
(マニュアルで人が勝手に売上計上したり、お金の支払ができてしまうと、不正のもとになりますからね)
債権・債務のプロセスは、こちらの記事で解説しているので、気になる方は読んでみてください。
SAPでは債権・債務については、自動で総勘定元帳に連携されます。
そのためこの記事では、その他のお金のやり取りを直接、総勘定元帳に転記するプロセスを解説します。
その他と言っているのは、
- 振替
- 銀行口座への振込・引出
- 税務署への税金支払
など、SAPでは他の業務から自動で連携されない、会計のみで処理をするプロセスのことです。
総勘定元帳転記プロセス
それではSAPの総勘定元帳の転記プロセスが、どのように進んでいくかお話していきます。
が、総勘定元帳の転記は、T-code:FV50(G/L勘定伝票入力)で実行するだけです。
(※T-code:FB01(会計伝票登録)でも同様に登録できます。)
しかし、いきなり総勘定元帳にお金の記録が登録されることは、不正のもとになるので、
- 承認プロセスを設ける
- トランザクションコードを使い分けて、権限制御する
といったことをします。
会計伝票のステータス
承認プロセスを設けるために重要なのが、会計伝票のステータスです。
SAPには3つの会計伝票のステータスがあります。
- 保留
- 未転記
- 転記
それぞれ、どのような意味があるかというと、
- 保留は、担当者が入力しただけの状態
- 未転記は、担当者が入力完了し、承認者にチェックをもらえるた状態
- 転記は、承認者がチェックをし、総勘定元帳に記録された状態
会計伝票登録には、この会計伝票ステータスを頭に入れたうえで、承認プロセスを考える必要があります。
権限制御に使えるトランザクションコードの考え方
【保留・未転記(担当者向け)】
いきなり会計伝票転記ができるトランザクションコードは、Vシリーズだと覚えてください。
- T-code:FV50(G/L勘定伝票入力)
- T-code:FV60(仕入先請求書入力)
- T-code:FV70(得意先請求書入力)
ここでは、入力する伝票タイプによって、トランザクションコードを分けます。
- T-code:FBV1(未転記伝票登録)
- T-code:FBV2(未転記伝票変更)
伝票タイプ問わず、すべての会計伝票の保留・未転記ができます。
【転記(承認者向け)】
いきなり会計伝票転記ができるトランザクションコードは、Bシリーズだと覚えてください。
- T-code:FB50(G/L勘定伝票入力)
- T-code:FB60(仕入先請求書入力)
- T-code:FB70(得意先請求書入力)
ここでは、入力する伝票タイプによって、トランザクションコードを分けます。
- T-code:FB01(転記伝票登録)
- T-code:FB02(転記伝票変更)
- T-code:FB05(消込転記)
- T-code:FB08(伝票反対仕訳(取消))
伝票タイプ問わず、すべての会計伝票の保留・未転記ができます。
これらのトランザクションコードを、適切なユーザに割り当てて、業務プロセスフローを検討することで、監査上、問題のない業務ができるようになります。
参考:総勘定元帳レポート
総勘定元帳レポートには、以下の10種類があります。
- T-code:FBL3N(勘定コード明細照会)
- T-code:FS10N(G/L勘定残高照会)
- T-code:FAGLB03(勘定コード明細照会(G/Lビュー))
- T-code:FAGLL03(勘定コード明細照会)
- T-code:S_PL0_86000028(財務諸表:実績/実績比較)
- T-code:S_E38_98000088(利益センタグループ:計画/実績/差異)
- T-code:S_ALR_87012284(財務諸表)
- T-code:S_ALR_87012357(消費税レポート)
- T-code:S_P00_07000134(源泉徴収税レポート)
- T-code:FBICR3L(グループ内債権/債務明細照会)
まとめ:総勘定元帳転記はその他の会計データ計上
総勘定元帳は、会社のすべてのお金の取引を管理します。
SAPでは、販売・調達から売買のデータが連携され、自動で会計データが登録される仕組みになっていましう。
そのため、総勘定元帳転記は販売・調達以外の会計データ計上のために、マニュアルで会計伝票を登録します。
この記事を通して、総勘定元帳転記の方法、権限・承認プロセスの考え方について、理解いただければと思います。