購買情報マスタとは、仕入先 x 品目単位で設定するマスタです。
同じ品目でも、仕入先によって価格条件ややり取りする情報が異なるので、それを購買情報マスタで設定していきます。
この記事では、購買情報マスタの設定方法について解説していきます。
Contents
購買情報マスタとは
購買情報マスタとは、仕入先 x 品目単位で設定をしていきます。
同じ品目(原材料・資材)を別々の仕入先から購入するときに、仕入先固有でマスタ設定したい情報を、購買情報マスタに設定します。
例として、以下のような設定項目があります。(詳細は後ほど解説します)
- 仕入先品目番号・テキスト
- 購買価格条件
- 最低発注数量
- 納入日程
- など
購買発注伝票を登録する際に、「購買情報マスタ」に登録された値から伝票にコピーされます。
購買情報マスタは、仕入先 x 品目単位で設定するため、品目マスタに設定した値よりも、購買情報マスタの設定値が優先されます。
購買情報マスタ登録(T-code:ME11)
それでは購買情報マスタ登録について、項目レベルで解説していきます。(画面ごとに区切って解説を入れていきます。)
トップ画面(キー項目)
トップ画面では、キー項目である以下項目を指定して、登録画面に入ってきます。
項目名 | 意味 |
仕入先 | 仕入先コード |
品目 | 購買品目の品目コード |
購買組織 | 購買組織コード |
プラント | 購買するプラント |
キー項目指定は、以下3パターンあります。
仕入先 x 品目
仕入先 x 品目の場合、テキスト情報・管理情報のみの設定となります。
仕入先 x 品目 x 購買組織
仕入先 x 品目 x 購買組織の場合、価格条件・テキスト情報・最小発注数量・納入日程など、細かい購買情報の設定ができます。
仕入先 x 品目 x 購買組織 x プラント
仕入先 x 品目 x 購買組織 x プラントの場合、仕入先 x 品目 x 購買組織と同じレベルの購買情報の設定ができます。
ただし、プラントレベルでの設定が、購買組織レベルの設定よりも優先されます。
トップ画面(情報カテゴリ)
情報カテゴリは、以下4つから選択します。
- 標準
- 外注
- パイプライン
- 受託品
標準
原材料・資材の場合は、「標準」を選択します。
ほとんどの場合が「標準」です。
外注
品目外注・工程外注の場合に使用します。
外注の場合、購買価格は「外注加工費」のため、品目の価格ではないことに注意しなければなりません。
パイプライン
パイプラインは、水道・電力・石油など、パイプライン(導線)によって供給される品目に対して設定します。
受託品
受託品とは、仕入先受託品のことで、在庫は自社にあるが、資産上はまだ仕入先のものの品目のことです。
受託品プロセスについては、こちらの記事で解説していますので、気になる方は読んでみてください。
一般データ
催促日付
催促日付とは、仕入先に納入予定日前後でモノがきますよね? という催促を出せます。
第1~第3催促日付まで設定ができます。
設定値は、「日」です。
マイナス日も入力可能で、例えば “-1” の場合は、納入予定日1日前に催促が出ます。
仕入先品目コード
仕入先品目コードとは、仕入先のシステムで管理している品目のコードのことです。
会社が異なるので、もちろんながら品目マスタのコード体系は異なります。
会社同士のパワーバランスによっては、仕入先品目コードでやり取りしたほうがスムーズな場合もあるので、この項目で管理します。
営業担当・電話番号
仕入先の営業担当と電話番号の入力が可能です。
返品契約
返品可否・返金可否の設定をします。
購買組織データ1
納入予定日数
納入予定日数とは、発注から入庫までにかかるであろう予定日数です。
MRP(所要量計画)に使用されたり、購買発注伝票をマニュアル登録する際に納入予定日数が足りない場合はWarningが出たりします。
購買グループ
購買グループとは、自社の部課などを設定した組織マスタを指定します。
購買グループは、主にこの仕入先 x 品目を管理するものが値としてセットします。
標準発注数量
標準的に発注する数量をデフォルト値としてセットします。
最小発注数量
発注する最小数量をセットします。
最小発注数量を下回る数量で購買発注伝票を登録しようとするとエラーメッセージが出ます。
最大発注数量
発注する最大数量をセットします。
最大発注数量を上回る数量で購買発注伝票を登録しようとするとエラーメッセージが出ます。
この場合、購買発注伝票を2つに分割して登録する必要があります。
正味価格
数量単位あたりの正味価格をセットします。
細かい購買価格条件は、「条件」画面から設定していきます。
インコタームズ
インコタームズとは、国際商業会議所が取り決めた貿易のルールで、「危険負担」「費用負担」を売主・買主のどちらが負担するかを決めたルールです。
インコタームズについて、詳しくはこちらの記事で解説していますので、読んでみてください。
条件
条件タイプ
条件タイプとは、価格・値引・追加料金・運賃などがあります。
単位あたり金額
条件タイプごとに、数量単位あたりの金額を入力します。
また、条件タイプごとに「スケール」ごとの金額設定が可能です。
スケールとは、例えば 1 PC であれば 100円 / PC、10 PC 以上購入であれば 90円 / PC
といったように、購入数量に応じた金額設定をすることです。
有効開始日・終了日
価格の有効開始日・終了日を設定します。
価格は通常、契約に基づいて決まります。
今期は、100円 / PC だったが、原料の高騰により来期からは 120円 / PC になるので、有効開始日・終了日を使って期間に合わせた価格の設定をします。
テキスト
購買情報レコードメモ
購買情報マスタのみで保持するテキスト情報を入力できます。
最大5行まで入力可能です。
購買発注伝票テキスト
購買発注伝票にコピーするテキスト情報を入力します。
こちらも最大5行まで入力可能です。
購買情報マスタ変更(T-code:ME12)
キー項目を指定して購買情報マスタの変更処理をします。
購買情報マスタ照会(T-code:ME13)
キー項目を指定して購買情報マスタの照会をします。
(参考)MMマスタ解説記事
MMモジュールで使用されるマスタをこちらの記事で解説しています。
各マスタの意味や、マスタ同士の紐づきについて解説しています。
購買情報マスタも、品目マスタ・仕入先マスタの設定があって効いてくるので、こちらも参考に読んでみてください。
サマリ
ここまで購買情報マスタの設定について解説してきました。
仕入先 x 品目単位で、仕入先固有の品目情報を、購買情報マスタで保持させます。
購買情報マスタを使いこなすことで、品目マスタ数を削減でき、柔軟なマスタメンテナンスが可能になります。
この記事を通して、購買情報マスタの設定について少しでも理解が進めば幸いです。