【SAP】計画活動単価の算出方法について徹底解説!

【SAP】計画活動単価の算出方法について徹底解説!

計画活動単価とは、COモジュールで計算される1時間あたりの製造作業単価のことです。

分かりやすく言うと、時給のことです。

計画活動単価を元に、標準原価計算により、原価積上が実施されます。

この記事では計画活動単価がどのように算出されるかを解説していきます。

(前提)標準原価計算 実施手順

計画活動単価は、標準原価計算の「加工費」算出のために使われます。

まずは標準原価計算の中で、どのように計画活動単価が使われるか、全体感をつかんだ後に、この記事の事前マスタ設定について読んだ方が理解が進みやすいかと思います。

こちらの記事で標準原価計算の実施手順を解説していますので、まずはこちらを読んでみてください。

 

計画活動単価 算出計算式

まずは計画活動単価(時給)がどのように算出されるかを説明します。

計画活動単価は、以下の数式で計算されます。

①計画活動費用 ÷ ②計画活動時間 = 計画活動単価

 

実際に入る数値はこんな感じです。

計画活動単価_計算式

では実際に、どのようなステップで計画活動単価を計算していくのか解説していきます。

 

計画活動単価 算出パターン

計画活動単価の算出方法は大きく以下3つに分かれます。

①計画活動費用 ②計画活動時間 計画活動単価
パターン1 マニュアル入力
パターン2 マニュアル入力 マニュアル入力 自動算出
パターン3 マニュアル入力 自動算出 自動算出

 

それぞれの実施手順を図にするとこんな感じです。

計画活動単価_算出手順パターン

それでは1つずつ、パターンごとに設定内容の解説をしていきます。

 

パターン1(マニュアル活動単価入力)

パターン1は、オフラインで活動費用・活動時間を管理し、Excelなどで算出した計画活動単価を直接SAPに入力する方法です。

パターン1は、間接費予算も生産予定数量もオフラインで管理する場合に有効です。

計画活動単価_算出手順パターン1

活動タイプ/価格計画変更(T-code:KP26)

原価センタ x 活動タイプごとに計画活動単価を直接入力していきます。

標準原価計算のマスタ紐づきはこのようになっており、赤枠部分の活動単価を入力していくイメージです。

計画活動単価_マスタ紐づき

標準原価計算のマスタ紐づきについては、こちらの記事で解説しているので、気になる方は読んでみてください。

【SAP】原価計算のマスタ設定について徹底解説!

 

パターン2(マニュアル活動時間入力

パターン2は①計画活動費用・②計画活動時間をマニュアル入力し、計画活動単価を自動算出させるパターンです。

パターン2は、間接費予算のみSAPで管理する場合 かつ PPのMRP機能は使わない場合に有効です。

計画活動単価_算出手順パターン2

原価要素/活動投入量計画登録(T-code:KP06)

原価センタ x 原価要素単位で、加工費の元となる労務費や経費(間接費)を、固定費・変動費ごとに入力していきます。

 

計画配賦実施(T-code:KSUB)

間接部門や上位の製造部門に計上された、費用を製造部門に費用配賦します。

配賦イメージ

 

活動タイプ/価格計画変更(T-code:KP26)

オフラインで算出した計画活動時間を、原価センタ x 活動タイプ単位で入力します。

※パターン1では、原価センタ x 活動タイプ単位で計画活動単価をT-code:KP26で直接入力しましたが、パターン2では計画活動時間のみ入力です。

 

計画原価分割(T-code:KSS4)

分割構造(活動タイプと原価要素の紐づき設定)に応じて、活動タイプごとに計画活動費用を集計します。

分割構造イメージ

 

計画価格計算実行(T-code:KSPI)

最終的に、

  • 計画原価分割で活動タイプごとに集まってきた「計画活動費用」
  • 活動タイプ/価格計画変更で入力した「計画活動時間」

の2つを元にして、「計画活動単価」 を算出します。

 

パターン3(自動活動単価算出

パターン3は①計画活動費用をマニュアル入力、②計画活動時間はPPモジュールのMRP機能から生産予測を元に自動算出し、計画活動単価を自動算出するパターンです。

パターン3は、間接費予算もPPのMRP機能もSAPで管理・実施する場合に有効です。

計画活動単価_算出手順パターン3

原価要素/活動投入量計画登録(T-code:KP06)

パターン2と同様

計画配賦実施(T-code:KSUB)

パターン2と同様

 

計画独立所要量登録(T-code:MD61)

プラント x 品目単位に生産予定数量を入力。

入力は月単位でOKです。

 

長期計画実行(シミュレーションMRP)(T-code:MS01)

登録した計画独立所要量を元に、生産予定数量をMRPを使って自動算出します。

MRPでは計画独立所要量に加え、現在庫・入出庫予定・安全在庫を加味し、製品・半製品の生産予定数量が算出されます。

また生産予定数量を元に1つあたりの生産にかかる時間から、生産予定数量あたりのトータルの計画活動時間も合わせて算出されます。

※MRPについては、こちらの記事で解説してますので、気になる方は読んでみてください。

 

予定済活動転送(T-code:KSPP)

シミュレーションMRPで算出した計画活動時間を、原価センタ x 活動タイプごとにコピーします。

コピーされた計画活動時間は、T-code:KP26(活動タイプ/価格計画変更)で参照できるようになります。

 

計画原価分割(T-code:KSS4)

パターン2と同様

計画価格計算実行(T-code:KSPI)

パターン2と同様

 

サマリ

ここまでで計画活動単価(生産作業の時給)の算出方法について解説してきました。

基本的な考え方は、①計画活動費用 ÷ ②計画活動時間 = 計画活動単価 ですが、設定パターンが3パターンあります。

どこまでSAPで管理するか、オフラインで管理するかといったユーザ要件に寄ります。

基本的な考え方は、どのパターンも同じですが、実施方法についてはユーザと要検討になります。

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TK
製造業界、素材産業にて、SAP ERPの導入・保守を経験。会社の情報システム部門→外資系コンサル会社→育休→独立(フリーランス)。 SAP導入プロジェクトの仕事をする傍ら、SAPに関する情報をブログで発信。